報われない努力やがんばり、さようなら。自分の価値を最大化する方法って?

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仕事でも人間関係でも、自分の強みは、自分で気づきにくいものです。自分はそう思っていても周りの人には強みだと思われていなかったり、逆に思わぬところをほめられたりもします。それは最近ハマっているバナナブレッドづくりでのバナナ選びに通じるところがあるなぁと。今回は、報われない努力やがんばりを手放し、自分の価値を最大化する方法についてお話しします。

食が細くなった両親もよく食べてくれるので、このところバナナブレッドづくりにハマっています。アメリカで暮らしていた頃、wifiが利用できるからと、よくコーヒーショップで勉強したり、連載の原稿を書いていたんです。苦学生で予算が限られていても社会人を経験したことがあるので、コーヒー一杯で何時間も粘るのはお店に申し訳ないのもわかります。そこでランチ代わりに選ぶフードをオーダーしますが、腹持ちがよくって一番安いものってなると、いつもバナナブレッド一択に。

だからアメリカ生活の4年半で「一生ぶん、食べた」と思っていたバナナブレッドですが、ブームが再熱しています。

失敗なくおいしく仕上がるので、栗原はるみさんのレシピにクルミなどのナッツを加えて焼いています。砂糖は、ミネラルの風味と優しい甘みのバランスが好きでこの素焚糖 を使っていますが(料理にもおいしいです)、同じ分量の素焚糖とバナナを使っても、仕上がりの甘さが違うんですね。

というのも、バナナの熟れ具合で、びっくりするぐらいに甘さが変わるんです。

そこで黒や茶色の斑点、シュガースポットが出てきたときが、バナナブレッドを作るサイン。

私はバナナを食べるときは、スポットが出る前でほんの少し房の部分が柔らかくなり始めていて、全体的にはまだしゃんとしたものが好きなんですが、バナナブレッドとなるとこれではちょっと甘さが物足りない。

だから、スーパーで熟れすぎの安売りバナナが見つかると、「うわぁ、嬉しい!」とガッツポーズしちゃいます。

この叩き売られたバナナのように、ある条件や設定においては「ダメ」とか「落ち目」という烙印が押されても、むしろそのコンディションだからこそ、ぴったりとハマる用途や行き先がある。

他の誰かになる必要ってないんです。
そんなことをバナナから教わります。

そのままスライスしてパンケーキに添えてもらいたくても、ちょっとジュクジュクして柔らかすぎるのかもしれない。
バナナブレッドとして香ばしく焼いてもらいたくても、固くて甘みが足りないのかもしれない。

だから、
「パンケーキに添えられるスライスって羨ましいなぁ。私って、ちょっと旬を過ぎてるなぁ」とか。
「バナナブレッドに向いていない私ってダメだなぁ。ダメダメ、もっと甘くならないと!」
と思ってみたりするんだけど。
それは他にありのままでピタッとハマる場所があるんだよ、と教えてくれているってことかもしれない。

自分に合っていない、求められていない方向性を向いているから、苦労しているのかもしれないんですね。

参考:ハイヤーセルフと繋がる方法とは? 問題を解決する、自分を超えた答えのダウンロード法

このことを仕事に置き換えてみたら、自分が差し出したもの(サービス)を「ありがたいなぁ」と思われたり、それで誰かのなにかお困りごとを解決できていたら、おいしいスライスバナナだったり、バナナブレッドになれているということですね。

でも、高いマヌカハニーを塗った場合にかぎり美味しい、だったらその状態は続きません。

だから、冷静に自分のことを棚おろししてみることって大切。
とっても難しいことではあるんだけど…。

バナナブレッドかスライスバナナか。
就職面接なんかでもやりなさいと言われる「自分の強み」の棚おろしです。

となると、強みやスキルってなんだ?となりますが、『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 』によると、その公式は、才能✖️知識✖️技術=自分の強み、と説明されています。才能というのは、生まれつきのものと、のちに学習して培ったものの両方を言います。



とはいえ才能✖️知識✖️技術=自分の強み、なんて言われるとなんだかハードルが高く感じられる…。

そこで一度でもいいので、誰かに褒められたことなんかを書いてみましょう。

「猫に好かれる」「本がいくらでも読める」「あいさつの声がよく響く」「暗算が速い」など、小さなことでも思いつくことはすべて書き出します。

自分は些細なことだと思っていても、誰かにとっては助かることかもしれません。
自分の可能性を信じてあげます。

参考:あらゆるコミュニケーションに役立つ。「一緒に居たい」と思われる、一番簡単な方法。

自分なりに強みを棚おろししたうえで、どんなことが必要とされているのか人の話を聞いてみるんです。

相手に選ぶのは、自分がやりたいようにすでに生きている人や、家族や友人で最後まで裏切らないような信頼できる人、メンターや恩人、またお客さんや上司、社長など、自分がやったことにお金を払ってくださる方です。

そして以下は、この”人のお話を聞く”を怠ってしまった私のズッコケ談。

10年ほど前のことです。
女性誌ananの取材でお会いした、ドキュメンタリー映画『happy』のプロデューサー清水ハン栄治さんに進路相談したことがあるんです。というのも、この映画を観て初めてポジティブ心理学という分野を知って、当時衝撃を受けたんですね。

参考:北朝鮮の強制収容所を描く3Dアニメ映画 『トゥルーノース』清水ハン栄治監督に聞く、どんな時も希望を指す心の羅針盤の見つけ方

それで、会社を辞めてアメリカでポジティブ心理学を学び、研究者になって幸福の本質を見つけたいと思ったんです。そしてそのメソッドなりメカニズムなりを伝えたいと。で、いろんな研究者の方に取材されてきた清水さんに、お話を伺ったんです。

今振り返れば、震災後に編集者として何を伝えたいのかに思い悩んだり、プライベートでは離婚したりと、個人的に幸せがよくわからなくなっていたことも発端だったと思います。自分が切実に知りたかったんですね。
さらには高校生のときからの夢、留学したいという、ずっと封印してきた願いがくすぶっていたというのもあるでしょう。

すると清水さんに「えー、どうして??」と驚かれました。

そして、こう率直に言ってくださったんです。
「すでに、素晴らしい研究者は世界中にたくさんいますよ。
でもそれをわかりやすく、人に興味を持ってもらうように伝える人は足りない。
つまり、ポジティブ心理学の分野って、「ビタミンCが良い」ってわかったけど、それがうまく市場に伝わっていないという状況なんです。

最先端の情報に触れられるから、アメリカで勉強するのはすごく良いと思いますけど、
だからって大学に行って研究者になるっていうんじゃなくて、それをいち早くわかりやすく伝える。それが、土居さんが今までやってこられたことを踏まえたら、全体のボトムアップにつながり、一番役に立つことじゃないですかね」
と。

今は深くうなずきすぎて首がもげそうになるぐらい、その言葉に納得です。ごもっとも。

けれどお話を聞いたときの私は、「そうはいっても、やりたいんです!」と耳に入らなかった。
アドバイスって、そのときの自分の波動(エネルギー)とマッチしたものしか受け取れないんだと思います。

視野が狭く自分がやりたいことを先にやっている人のアドバイスですら耳に入らない状態の当時の私。自分のプロフィールシートの棚おろしなんて、まったく考えられなかったんです。




そうはいっても、やめろと言われた道を進んだことで出会えなかった人や気づきもたくさんあり、今の自分を育んでいると思うので、後悔はありません。必然だったと思います。

でも、すっごく正直にいえば、ちょっと悔やむところもあります。大学に通ったり、研究室の補助をするより、指導認定が受けられる講座を取り続けていたほうが、もっと早い段階で、いまやっていることがもっと早くスムーズな形でできていたかもしれないなぁとか。(それもおそらく、狭い視野で過去を捉えています。魂が体験したいことしか、人生で起こっていませんから)。

振り返れば、人間関係でも仕事でもめちゃくちゃ頑張っているのに、労力のわりに報われないという気がしてしまったときは、だいたい相手のニーズを満たせていない場合が多かったです(それでも夢中になれていたら、評価されなくても苦しむことがありません)。

たとえ時間やエネルギーを注いでも、相手にとって満足できるサービスになっていないんですね…。
逆に、はたから重労働や手間に見えても、相手と受け取り贈るというエネルギーを循環し合っていれば、まったく苦になりません。

参考:あなたに最適な男性性エネルギーと女性性エネルギーのバランスを調整する方法

そこで棚おろしした後は、相手の話をとことん聴くことが大切だと思います。これは自分にも言い聞かせつつ。「えっ?!」と思ったときは、すぐに○も✖️もつけずちょっと立ち止まる。相手との関係性を踏まえつつ、その言葉に興味を持って捉え直すようにしています。聞く耳を持たないというのは、本当にもったいなかったという反省を活かす意味でも。

そのためにまず、相手の言葉より前に、習慣的に自分のホンネを聞く時間を持つことが大切です。自分の心が無視された状態だと、有益な助言や情報に触れても、受け容れることができないからです。そこでジャーナリングや瞑想、信頼できるカウンセリングやヒーリングなどが役立ちます。自分に合う方法で、ホンネを無視せず安心させることがその暴走を未然に防ぐために必要です。

参考:自然なあなたが一番美しい。ドス黒い感情やダメな視点にも価値がある! 不安、怒りを「書いて」陽転させる方法。

では、ホンネを無視し続けた場合、何が起きるのか。

心がウイルスに侵されてしまったようになり、過去の経験やその記憶が無意識下の感情や反応を引き起こし、自滅行動をとってしまうというのが、物理学の教授でこころのウイルスの著者ドナルド・ロフリング博士です。

博士によれば、心のウイルスに感染し、不調和が起きると
・心が問題でいっぱいのときは、アイディアやひらめきが入る余地がない。
・正しく現実が見られないことで、イライラ・鬱々した気持ちの原因になる。

そうです。これは、まさに先の私の状態です。

先日ジャーナリストの友達と話し、何十年も第一線で活躍してきた彼女がつらぬいてきたものは何かを聞きました。
すると即答されたのが、「やりたいことをするよりも、やりたくないことをしない」というスタンスだそう。

彼女は、「この仕事をすることと、昼寝をすることだったら、どっちのほうが自分にとって良い時間だろう?」と、いつも自分のホンネを確かめるようにしているそうです。

「昼寝の方がいいな」と思ったら、どんなに条件が良さそうに思える仕事も受けないんだそう。

つまり何を望むかだけでなく、何がイヤかに目を背けず、ホンネの自分を認めることは大切だと。ホンネを認めた後に、自己決定して、物事を解決していくんだそうです。

修行癖が強い昔の私だったら、どこかで「ちょっと不謹慎」と思ったかもしれません。でも、無理したことで重度の顔面マヒになった今は、深くその言葉にうなずかされます。

参考:ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学

なにかや、誰かの意見などに強く抵抗を覚えるときって、自分の内側にトリガーがあるんですね。それが心のウイルスで、強くこだわりすぎてホンネとのバランスが崩れているポイントなのかもしれません。

参考:嫌いな自分を赦せば、愛が叶う。投影を外し、人間関係のモヤモヤを一掃する心理学。

実際、健康な時間は、本当に貴重です。永遠ではないし、ちょっとしたバランスであっけなく崩れてしまう。だから昼寝にしかり、気持ちよく眠れること、自分を休ませてあげることはとても大切です。

心だったり体だったり人生だったりのバランスを崩すのは、たいていホンネの無視がコップから溢れ出したときだから。

私の経験上、まず疲れやすかったり、肩や腰が凝っていたり、張っていたり、寝つきが悪かったりというささいな不調が体にでます。その後で痛みが体に走って、最後に病気が出現。

我慢づよいこと、頑張ることは良いことです。
でも、病気になるまでホンネを無視し続けると、動けなくなります。
病気にならない人、死なない人は、誰もいません。でも、あえてそれを自分に強いる必要はないと思うんです。

参考:愛される人になる、望む人生を生きるための「投影(鏡)」の法則。

ダライ・ラマ14世は、私たちは幸せのために生きていると言いました。
つまり、私たちはフレッシュなスライスバナナや甘いバナナブレッドという風味、それぞれありのままで味わえる喜びを、お互いに表し合うために生きています。

だから、大切な人生の時間を、どんな気持ちで誰と過ごし(or誰と過ごさないで)、どう使うかというホンネの棚おろしはとっても大切。ないがしろにすると、美味しそうなスライスバナナや最高な焼き具合のバナナブレッドなのに、味わわずして腐らせてしまって人生が終わってしまうかもしれません(かくいう本人が、それをやりがちなので、気をつけます!)。それは避けたいですよね。

明日の朝は、今日焼いたバナナブレッドをトーストして、チーズを乗せて頂こうかなと今から楽しみです。