子どものころになりたかったことや、密かにやりたいこと、実はこうしたいと願う生き方が、あなたにもあるのではないでしょうか? 劇作家で監督のジュリア・キャメロンさんの『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』は、あなたの人生を取り戻すために役立ちます。そこで本書を参考に、創造的に生きるための5つのヒントについてお話ししたいと思います。
目次
『ずっとやりたかったことを、やりなさい』から、創造的に生きるための5つのヒント
子どものときの夢は、なんでしたか? 今の人生に満足していますか?
私の夢は、絵本作家でした。
その後は、学校の宿題がきっかけで詩を書くようになりました。
その流れで小学生のときの夢はずっと、恋愛モノの少女漫画家…。
電車とバスを乗り継いで漫画家の先生のご実家を訪ねて、お年玉を貯めて彼女がデザインしたというスカートを買ったこともあったっけ(彼女のお母さん、小学生相手にかなりの商売人)。
Gペンやスクリーントーン(知ってます?)とかも用意して、結構真面目(オタク)にやってました。でも、特に絵がうまいわけでも物語を生み出す才能もないなと痛感して、あきらめました。
ドラマ『ユミの細胞たち』を観ていたら、そんなことを思い出しました。原作がウェブトゥーンだったので。
それで再び開いたのが、ジュリア・キャメロンさんの『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』。
表紙の絵がいいんですよね。下手ウマな、人間ともモグラともわからない生き物がボーゼンと突っ立って小さな芽に水をやっているという。
この表紙の絵に、筆者が伝えたいことが全部つまっているように思います。
ジュリア・キャメロンさんは、創造性を育てる方法論「アーティスト・ウェイ」を指導する脚本家・映画監督です。
本書にあった、創造性を取り戻すための5つのヒント。絵画や作文、作曲などのアート活動に限定されず、自分の手に人生を取り戻すためにも役立つと思ったので、補足しながらお話ししたいと思います。
創造的に生きるための5つのヒント
1. 一歩一歩、小さな努力を積み重ねていく
努力はきっと報われる。けれども無理難題を自分に課せば、恐怖心が高じ、にっちもさっちもいかなくなる。そこで、一歩一歩、小さな努力を積み重ねるのが大切だと、キャメロンさん。
思えば将棋士の羽生善治さんもこんな言葉を言っています。彼もつづけることが才能の一番のエネルギーだと断言。
同じ情熱、同じ気力、同じモチベーションで持続することができる人が一番才能がある人じゃないかと思っているのです。(中略)。
一瞬の閃きとかきらめきのある人よりも、
見た目にはゆっくりしていて、シャープさはさほど感じられないが、でも確実にステップを上げていく人、
ずっと同じスタンスで将棋に取り組むことが
できる人のほうが結果として上に来ている
ー羽生善治・今北純一『定跡からビジョンへ』より
2. 熱意を原動力にする
長時間、創作活動に打ち込むために必要なのは、鍛錬ではなく、熱意。熱意というのは、感情のたかぶりではない。創造のプロセスに進んで身を任せ、周囲のすべてのものに創造性が働いていることを受け入れる姿勢のこと、そうキャメロンさんは言います。
そのために早起きし、長時間椅子に座ってうなりながら書き続けることは、はたから見れば厳しい試練のように見えるかもしれない。しかし、熱意のもとでは、子どもたちの秘密の冒険に近いとも。
参考:「ありのままの自分を大事にする」と「向上心を持たずに堕落する」の違いは?
たとえ私たちが固有の振動運動(波動)を持つエネルギーだとしても、私たちが生きる世界は、物理世界です。
そこで思いは行動に移すことで、現実化されます。残念なことに、願望実現の鉄則を守っていい気分でいても、なにもしないと叶わないのです。
参考:強力な新年の目標の立て方、願望実現の鉄則を守って「何もしない」と叶わない理由。
いい気分でいる時間を持って、ピンときたことを行動に移しましょう。ピンとくるとは、キャメロンさんがおっしゃるように、それは感情の昂りというよりも、「そうなんだ(これなんだ)」とスッと思うような感覚です。
私も毎日、本の原稿を書いています。これが出版されるかどうかはわからないけど、書かないことには何も始まりません。
一歩一歩進みましょう。
自分の表現力のなさやあれこれに挫折しつつも、お互いそれぞれの旅路を楽しみましょう。
3. 同情を精神的な支えにしない
傷ついたアーティストでいるほうが同情を集めやすい。けれどもそれを心の支えにしてしまうと、自由に創作できたときに恐怖を覚えることさえあり、創作する自分自身を妨害し始めると、キャメロンさん。
そして怖じ気づくと、突然、無関心になってしまい、自分が創作したものに投げやりな態度をとるとか。そこであきらめてしまうと、ずっとその次元にとどまることになってしまうと、キャメロンさんはいいます。恐ろしいですね。
できない、ムリ。だから「可哀想」「気の毒」と、同情で注目を集める。あるいは、それで「いい人(悪影響がない人)」と思われたいという潜在欲求を満たすことを報酬とすれば、創造性に向かうことはできないのです。
「嫌われちゃったらどうしよう」「気にかけてもらいたい」は、ベクトルが自分に向いてしまっています。自戒もこめて。
「自分を超えて相手も笑顔にする」という方向ではないのですね。
そこで、本当に欲しいものを明確にして、追求すること。コツコツと自分との約束を積み重ね、真の自信と自己信頼を築きます。
4.創作意欲が萎えたら、自分を温かい目で見る
私たちって、「自分はダメだ」「まだまだだ」と自己批判することが推奨されがちです。
でも、自分にもっと思いやりを持っていいはず。愛のエネルギーで自分を包みます。
自分の人生を生きると決めると、恐怖がつきまといます。だから、どんな創作に取り組むにせよ、行き詰まりを感じることがあります。
「そんなときは、少し時間をおいてみましょう」というのがキャメロンさんのアドバイス。
たしかに堆肥が肥やしになるのだって、時間がかかるんです。
さなぎが蝶になるときも、いったんほとんどの細胞組織が溶けてしまうとか。
おいしいケーキだって、焼き上がるまでは、小麦粉や卵やバター、砂糖が混じったドロドロの物体です。
参考:ハイヤーセルフとつながるとは、「ゴミから宝物が生まれる」を深く知る体験。
大切なのは挫折を避けて通ることではありません。
むしろ必要なのは、
得体の知れないものにもくつろぐ力だったり、
参考:手放せば入ってくる宇宙の法則。なぜ余計なものを無くせば求めるものが手に入る?
挫折したときに、それを乗り越えて生き残る力。
だから、うまくいかなくても、期待どおりではなくても、自分を温かい目で見守りましょう。
そして、一歩一歩着実に前に進みます。
ゲシュタルト崩壊している自分を経験することで、AかBかではない、AもBも含んだCという自分という次元につながることができます。
参考:新しい世界に向かうときに迎える心の状態、ゲシュタルト崩壊とは?
5. 創造性を妨げる障害を打ち破る
創作意欲をなくすとき、そこには必ずといっていいほど、恐れがかかわっています。
ここでトリッキーなのは、失敗に対する恐れだけではなく、成功することへの恐れもあるというところ。
失敗にせよ成功にせよ、居心地のよい慣れ親しんだ領域、コンフォートゾーンを脱することになるからです。それはやっぱり、怖いですよね。
でも、たとえば企画がボツになることは、大きな視点で考えれば悪いことではありません。
その体験がそのときの自分にとって、必要だったということに過ぎません。
参考:ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学。
起きていることはすべて必要なことなんです。
だから、創作活動の行き詰まりから抜け出すには、自分が恐怖や痛みに否定的に反応しやすいことや、本気で助けを必要としていることを素直に認めなければならないと、キャメロンさんは言います。
そして、まず自分が生み出したものの1番のファンに自分がなりましょう。
本当に大切で楽しんで作っているものには、創造した人の愛のエネルギーが乗っています。
人は愛あるものにしか感動しません。
そういうものはベストな形とタイミングで、必要な人に届くようになっていると私は信じています。
まとめ
実はこうしたいという願いや生き方。劇作家で監督のジュリア・キャメロンさんの『ずっとやりたかったことを、やりなさい。』より、創造的に生きるための5つのヒントについてお話ししました。
その軸となるのは、やはり、自分自身、作ったもの、届ける相手への愛のエネルギーだと思います。