避けたいこと、困ったことが起きると、誰かや何かのせいにしてそれを恨んだり、自分を責めてしまったりしませんか? 実は、そんな必要は全くないんです。”嫌な出来事”は、私たちが本来備えている力を取り戻し、ハイヤーセルフだと思い出すために起きているからです。私たちをただ困らせたり、傷つけるために起きているわけではないのです。
20年ほど使い続けていた父のパソコンが壊れたので買い替えました。「使ったことがない」とためらう父に、私は「でも、ほかのものだと初期設定ができない」と伝えて、抗がん剤治療中77歳の父は、先週Macデビューを果たしました。
そこで「タッチパネルの使い方がわからない」「ワード文書に画像を貼りつけられなくなった」と、たびたび相談してくる父。
「わからないことがあったら、インターネットでこうやって調べて自分でやってみましょう。私もいつもネットで調べてやっているの。そうでないと、いつも私がはりついていないといけない。5回自分で挑戦してわからなかったら、そのときに聞きに来てください」。
ある日、父を突き放しました。
残酷に見えますが、可愛い親には、旅をさせよ、です。
いきなり崖の前にひとり、突き放された父。
目の前には、ピンクゴールド色の愛らしい新品Macがそびえます。その画面には、私がインターネットで検索しておいた「Wordの互換モードを解除する」というページが広がる。
「一体、どうなるかなー」と思っていると、しばらく静かになって1時間後。
「ありがとう!! やれたわ! やっぱり、自分でやらないと出来るようにならないねぇ。歳とってもまだ新しいことを学習して理解できる力って、あるんだなぁ。そう思ったら、気持ちいいわ。突き放してくれて、ありがとう!!」。
あぁ、良かった良かった。
しかし、お父さんって偉いなー!と感心しました。
面倒くさかったというのも大いにありますが(笑)。
私たちの魂には、自分で体験して気づき、選択していきたいという欲求があります。だから、父の深い部分がそうすることを求めているような気もしたんです。
信じてみて、良かったです。
私は、会社を辞めてアメリカで心理学を38歳で学び直しました。
そのときにこんなことがあったんです。
当時はテンパりましたし、突き放されたことをちょっと恨んだりもしたけれど、
最終的には、困ったこと、避けたいことって、自分が本来持っている力を取り戻すために起きるんだなぁと痛感しました。
さて、絵本で英語を勉強していた2か月後、奇跡が重なって大学で心理学を学ぶことになりました。となると、しばしば当然のように小論文の課題が出るわけです。
強盗に有り金と携帯を強奪されて、連絡することになった、今まで会ったことがなかったアメリカで暮らす伯父。
大学のプログラムを見つけてくれた彼が「使えるものは全部使ったらいい!」と後押ししてくれ、彼の娘である、こちらも会ったことのない従姉妹(ネイティブ)に添削してもらって提出することになりました。
やれやれとホッとして、二回目にお願いをすると彼女がキッパリと却下。
「提出のたびに添削していたらキリがない。あなたにとっても良くない。勉強にならない。1度目はやったけど、これからは自分でやりなさい」。
ガーンッ….です。伯父と苦笑い。
それでどうしたかというと、人間、追い詰められると考えるわけですね。
すぐに向かった先は、採点する大学院生のオフィス。
「私はネイティブじゃないから、最低限文法のミスはないように徹底するけど、言葉の選び方がおかしいとか表現がぎこちないとか、そういうところで点数を引くのはやめてほしい」と、掛け合いました。
そういえば、一年前は私、女性誌の編集者だったんだよなぁ、なんかカッコ悪いなーとも思いましたが、そんなことは言っていられない。
すると彼女が納得し、「でも論点がズレていたら、しっかり点数をひく」と断言。で、英語ができないことが丸出しのぎこちない文だったと思いますが、前回と同じAが取れたんです。
この一件では、パーフェクトであることよりも、今できるベストを尽くすことなんだなぁと学ばされました。
それは、自分と自分が今ある世界を信頼するということです。
たとえブザマでも自分でやってみてうまくいったときは、「自分でやれるんだ」という力強さを取り戻せます。もうあの人がいつもいなくても出来ると、自由も感じられます。
自己信頼度が高まります。
自己信頼度というのは、「(なにがあっても)なんとかなる」という感覚です。
私たちは自分が持っている自分というイメージから生まれた観念(ビリーフ、信念とも呼ばれる)にもとづいて思考や行動を決定しています。観念というのは、「自分はこういう人間だ」「世の中とはこういうものだ」という思い込みのこと。社会や親の価値観、過去の体験などをもとに形づくられた考え方です。
参考:観念とは? 自分でも気づいていない、願望を妨げる観念を掘り起こす。
自己信頼度が高まると、感じ方が変わって、がっちり決まっていた観念の枠がゆるみます。「ずっとダメだと思っていたけど、なんとかなることっていうのもあるんだなぁ」と。
その結果、過去ではなく、他の人の言い分でもなく、いまの自分の感覚やホンネ、望みを信じて行動できるようになります。
自分がしっくりくるかどうかで答えを選ぶことができるのです。それは夢や希望を叶えるチャンスにもつながります。
もちろん、成功体験ほど自信を高めてくれるものはありません。
とはいえ、自信というのは必ずなにかを成功させなければつかないということでもありません。
思うに自分の感覚を信頼して、「とりあえず、やってみよう」と許せる人が、本当の意味で自信のある人ではないかと思います。
そこで高名な専門家や占い師につねに答えを出してもらうのではなく、自分にとって最善な答えを自分で選べること。それが、変化が早く、たくさんの情報があふれるなかで、一番大切な能力じゃないかと思っています。
参考:自然なあなたが一番美しい。ドス黒い感情やダメな視点にも価値がある! 不安、怒りを「書いて」陽転させる方法。
自分の感覚を信じるからと言って、自分勝手でワガママになってしまわけではありません。
自分で選ぶことで、うまくいかなくても誰かだったり何かのせいにする必要がなく、願ったとおりに進んでいないときには、再びそこから自分を感じて選び直すこともできます。
その結果、心は穏やかに満ちていて、他人や状況に対してもより寛容になれます。
そこで抱くのは胸が開いて、自分のエネルギーが大きく、満ちていくような感覚です。
言葉にすれば、理屈で無理に納得しようとしている感じじゃなく、ホッとしたり、ワクワクしたりと前向きな気持ちがしています。
そのように自分の感覚を取り戻し、自分で答えを選ぶことはとても大切です。
たとえそれがぎこちなくても、遠回りにみえたとしても、そこに深い癒しと人間的成長があります。
思うにカウンセラーや先生の仕事は、クライアントの方の潜在力を、その人以上に信頼することだと思います。そして、その人が自分のことを信じられなくなったときには、変わらずそこにいて、愛を持って応援する。でも手とり足とり全部やって、その人がおこなうべきこと(その人の魂がやりたいと設定してきた学び)を奪ってしまわないことが大切です。
そうでなければ、依存関係になってしまいます。私たちは思っている以上に、本来お互いにパワフルな存在なのに。
参考:一緒にいると、本当に癒される人の特徴。良いヒーラー、カウンセラーの役割、選び方とは?
肉体を持つ前の魂だった私たちは、いっけん困ったことや避けたいことなどスムーズにいかないことも面白いから体験してみたいと、この物理世界に生まれてきました。
今は、絶対乗り越えられないとみえるそれも、魂の自分は乗り越えられるのだと私たちを変わらず信じてくれています。
そこで成長というのは、新しいものを加えることではなく、本来の自分に戻っていくこと。いらないものを手放していくことだと思います。
いらないものというのは、自分は弱いものだと思わされるような制約のことです。
その制約は、実は自分で作ってきました。周りの人や世間、社会全体にそう思わされたのかもしれません。でも、最後に「そうだ」と取り入れたのは、自分だからです。
その制約から自由になって、自分を超えるような本来の力を取り戻すこと。
たとえば、心理学者のカール・ユングは、小さな範囲に留まって未発達である私たちの潜在能力を十分発揮していくことを「個性化」と呼びました。
仏教では、すべての人の中に備わっている「仏性」。
トランスパーソナル心理学やスピリチュアルな世界では、「ハイヤーセルフ」という高次の意識状態をいいます。
参考:ハイヤーセルフと繋がる方法とは? 問題を解決する、自分を超えた答えのダウンロード法
それは、部分(自分の感覚)にフォーカスしながらも、常に全体が見えているような意識状態です。つまり感じるように考え、考えるように感じるような感覚とも言えるでしょう。
そんな感覚とつながるような本来の自分のパワー、自分という枠を超えた力を取り戻すために行うこととは、自分で感じて、自分で考えること、でしょう。
例えば、「これがいい」「これがダメ」、「こうしなさい」「こうしちゃダメ」と言われたときに、それを鵜吞みにせず、まず自分の心の感覚に触れてみる。
ザワザワしたり、心が圧迫されるような違和感がしますか? それとも、今の自分とは違う考えでも、ハートが開いていくような感じがしますか?
恐れを手放し、幸せを増していく方向は、どこにあるかと見つめます。
「べき」や「ねば」で固められた偽りの被いから、自分を解放させます。
しっくりきたり、安心できたり、ワクワクする前向きな感覚の捉え方、行動を選びます。
参考:あなたに最適な男性性エネルギーと女性性エネルギーのバランスを調整する方法
情報が足りなくてその感じがつかめないなら、自分でそのことについて調べてみて、データを集めてみるのもいいでしょう。
私たちは、すでに答えを知っているのだと思います。
そして、避けたいこと、困ったこと、わからないことが起きるのは、私たちが本来持っている力、ハイヤーセルフであることを思い出すためです。
参考:前世療法とは? 自分の前世を知って問題から自由になり、今の人生を大切に生きる方法
モヤモヤしたり、ザワザワしたり、満たされた気持ちになったり、ワクワクしたり、ホッとしたり。そんな私たちの感覚は「魂ナビ」。
それを信じて行動してあげたら大丈夫なんだと思います。