幸せへスムーズに移行するための不滅の原則があった!望む現実を創造するカギ、“赦し”について徹底解説します。

現実とは、私たちが意識したものの現れである。幸せな現実とは、過去に抱いた心地よさやワクワク感という”感情”や”感覚”の現れだとは、引き寄せの法則や現実創造のメソッドで語られるところです。とはいえ心がヘトヘトなときに、「望む現実のために前向きになれ」と言われるとかえって嫌な気持ちになってしまいませんか? そこで、幸せへスムーズに移行するための不滅の原則がありました。その鍵は、“赦し”。許しと赦しの違い、さらには、なにをどう赦すというのでしょうか。お話しします。

幸福心理学の幸せを決める5つのもの。

幸福心理学という言葉を聞いたことがありますか? 心理学の比較的新しい分野です。

一般的に心理学では、臨床心理などの心の病気を治すことが主流でした。対して幸福心理学は、健康で幸せに生きることを目的にしています。マイナスをゼロにするのではなく、喜びや幸せの決め手が何かを知る心理学です。

エド・ディーナー博士は、そんな幸福心理学の第一人者です。博士は、何十年にわたり、なにが人を幸せにするのかを研究してきました。そして長年の研究結果により、幸せに必要なものとして以下の5つの要素を挙げました。

  1. 人間関係
  2. (人生の浮き沈みに適応したりできなかったりという)遺伝的要素
  3. (多ければ多いほど良いわけでなく、快適で安全な暮らしのために必要な)お金
  4. 社会と文化(貧困や戦争で苦しむ国民は幸福度が低い)
  5. 前向きな思考スタイル

これらをみると、遺伝子レベルのセットポイントは基本的に変えられない。社会と文化もひとりで何とかしようとするには大きな課題です。人間関係や金銭状況もすぐに取り組んで変えられるものではありませんよね。

となると、取り組もうと意識が向かうのが、5番目の前向きな思考スタイル。人生のさまざまな出来事や状況を、前向きにとらえる姿勢です。

前向きさは、心理学もスピリチュアルも幸せの鍵とする。

たくさんの自己啓発本や心理メソッド本が出版されることをふまえても、心や思考を整えたい方が数多くいらっしゃるのでしょう。わたし自身も大変興味があって、書店や図書館では必ず心理学・哲学ゾーンに直行します。

前向きさが幸せの鍵を握るとは、ポジティブな人だけがうまくいく3:1の法則の心理学者バーバラ・フレドリクソン博士もまたお話されるところです。

博士がいうには、私たちがポジティブな感情でいるとき、心がオープンになって視野が広がるのだとか。視野が広がることでものごとをより正確に捉えることができ、判断力が上がって正しい選択ができるんだそうです。それは幸せを創造するための言葉や行動を選ぶために、とても大切なことです。

たとえば「感謝のしるしです」とキャンディが入った袋をもらっていい気分になった医師は、より良い医療判断を下せたという研究結果などもあります。

参考:無意識の不幸スイッチは簡単に切り替わる。五感を使って願う現実を創造する方法

スピリチュアル分野では、第十の予言 の知恵は、楽観的でありながら常に目覚めているということだとありました。広く支持される多次元的存在バシャールもまた未来は、えらべる! では、幸せな現実次元に存在するためには、前向きな視点がとても大切だと語っていますね。



 “いつでも前向きでいなくちゃ”という地獄。

しかし、これがなかなか難しいのです。

というのも、どうにも辛いとき、心がヘトヘトなときってありませんか? そんなときに「前向きになりなさい」「楽天的に捉え直しなさい」と言われて、どう感じますか。追い詰められるような気持ちになって、「そうしたくても、そうできない自分はダメだ」と落ち込んだり、「だから苦しいのに…」と腹が立ったり、やり場のない思いを抱えることになって、かえって嫌な気分になるなんてこと、ありませんか?

わたし自身、“いつでも前向きでいなくちゃ地獄”にハマっていた時期がありました。あのときは毎日が修行のようでしんどかった…苦笑。

参考:ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学

苦しかったり立ち止まりたかったりする自分のホンネにダメ出ししているんですよね。つまりは、等身大の自分にちゃんと向き合えていないんです。

その結果、相手にも自分のためにもならない良い人や親切の押し売りをしてしまっていたり(メサイア・コンプレックスとも言われます)、キャパシティ以上に頑張りすぎたり、”ベスト”な状態になるまで人に向き合えなかったり、隠そうとする自分のホンネをえぐるような他人の言動に腹が立ってしまったり(投影と言われます)……汗。

挙句の果てには、重度の顔面マヒにまでなってしまって…涙。

参考:風の時代へ。冬至の心の毒だし、バシャールの現実創造で何が起こる? 突然顔面マヒに、ラムゼイハント症で緊急入院した話。

悲しいほどに、気づけば視野も世界も狭くなっているんですね。自分のことが見えず、人のことも見えていない状態です。

悟りや目覚めとは、言うなればそんなズレた自分に気づいて戻す行為です。

参考:悟りや覚醒はどんな状態? 本当に幸せ? 普段の生活で開く悟りとは。

赦しは、ポジティブ思考の罠を解く鍵。

私が陥った“いつでも前向きでいなくちゃ地獄”にハマらないためには、バシャールは、「許し」が鍵になるといいます。それは誰かを許すということもありますが、とくに自分自身を許すことが大切なんだそう。



許しと赦しの違いって?

この文章のタイトルでは「赦し」という漢字を使っていますが、バシャールの本では「許す」という字が使用されています。ここで2つの違いについて説明しておきましょう。

「許す」は、「相手の願いや申し出を受け入れる・そうすることを認める」という意味と、「相手の過失や失敗を責めない・罰しない」という両方の意味が含まれます。

それに対して「赦す」は、後者の意味でつかわれます。私がここでお話ししたいのは、過去の言動をとがめないという意味なので、「赦す」という漢字を使いますね。

自分を赦すとは、あなたの尊厳や自尊心を守ること。

では、自分を赦すとはどういうことでしょうか?

「赦し」とは、相手の過失や失敗をとがめないでおくことです。自分を赦すとなれば、相手とは誰か他のことを指すのでしょうか? それとも自分自身のこと?

赦す相手とは誰かを考える前に、私が思うに「赦し」とは、傷つけられた犠牲者として自分を見ることから自由になること。それは、私たちを「傷つけ」た人の行為を「もういいよ」と許可することではありません。むしろ私たちを憐憫や、恨みや苦しみ、復讐心から解放することだとお伝えさせてください。

終わった関係に書く「赦しの手紙」での気づき。

そう気づいたのは、「赦しの手紙」を書いていたときのことなんです。

私は終わったパートナーシップ、そのほか何らかの終了した人間関係で「傷つけられた」と思い、時間が経っても心にわだかまりが残るとき、相手への「赦しの手紙」を書くんです。

手紙といっても、その人に出したり伝えたりすることはありません。ショックだったことをもう一度噛み砕いて、自分の心と向き合うためだけに行っています。

相手との出来事でツラかったこと、言えなかったこと、未消化のことを綴っていきます。人に見せるためのものじゃないので、善人になろうとしませんし、良い文章を書こうと気を遣う必要もありません。

参考:自然なあなたが一番美しい。ドス黒い感情やダメな視点にも価値がある! 不安、怒りを「書いて」陽転させる方法

そして最後にサネヤ・ロウマンの魂の愛にあった以下のアファメーションで締めます。

あなたは、あなたのタイミングで成長し変化してください。私の人生のスケジュールに合わせる必要から、あなたを解放します。あなたの行為によって傷つけられたと私が感じる全てのことに対して、あなたを赦します。自己憐憫やあなたを責める気持ちを全て手放します。そして、あなたを愛することができなかった全ての瞬間に対して、私は自分を赦(原文:許)します。 ーサネヤ・ロウマン『魂の愛』より

傷つけた相手は、自分の心を映す鏡。

書いた「赦しの手紙」を冷静に読み返すと、相手に嫌だなと思っていたことは、まったく同じではないにしても、私が自分自身に対して行っていたことだなと気づきました。自分を雑に扱っていたり、相手と同じように自分のことを侮っていたりしていたのだなと。

自分をダメだと思っていると、断ることができず、言うことを聞いてくれる自信のない私のことを好きな人が近寄ってくるのです。自分に与えていたものが相手を通しても返ってきたということなんです。

それを深く理解したときは、ただただガーンでした…。傷つけた相手とは、自分を映す鏡。つまり、鏡にうつる私の顔の汚れは鏡をふいても落ちないのです。

参考:嫌いな自分を赦せば、愛が叶う。投影を外し、人間関係のモヤモヤを一掃する心理学。

エクハルト・トールは、赦すことはこのように、見抜くことだといいます。

自己憐憫は、人から傷つけられたり、評価されなかったりすることで起きているようにも見えます。でも実は深い部分ではそうではないのです。

本当のあなたはとてもパワフルで、誰にどんな振る舞いをされたとしても傷つかない存在です。創造の源の現れなんです。そして幸せと喜びを選択すべき価値ある存在です。そこで、自己憐憫は、そのように自分のことを思えず、自分の力や価値を見くびっていることに起因します。

赦しはまた、復讐心、つまり、自分を傷つけた相手が不幸せになる、あるいは苦しむ様子を見たいという心の闇からも、あなたのことを救い出してくれます。そんな暗い場所に止まっていなくてもいいんです。



相手の赦しは、自分の赦し。

そこで、どんな赦しも、実は相手を赦しているようで、実は自分を赦す行為なのです。

傷つけられたという過去からあなた本来のパワーを取り戻して、あなたの尊厳や自尊心を守ること。今を生きるあなたという命に価値を置くこととも言えるでしょう。

頭でそうわかっていても、心がどうしてもついていかないときがあります。どうしても、あの人が赦せない。あの人が悪い、ひどい人間だと思う気持ちが手放せないようなときもあります。

そんなときは、赦せないあなたをありのまま受け入れて愛を贈り、赦します。

そこで、相手を赦せなくても赦せても、「赦し」とは、自分を赦す行為なのです。

期待したものをくれなかった人を赦す。ずっと残っている問題に執着するのをやめる。失敗した、できなかった自分を「そのときのベストを尽くしたんだ」と労う。その人と過ごした時間が喪失のように見えても、かわした言葉や思いの奥にあるエネルギーに触れる。すんでしまった過去にも失った関係にも、このように光を送り、癒すことができます。

赦しが幸せへスムーズに移行する原則である理由。

そんな“赦し”が、なぜ幸せにスムーズに移行するための原則で、望む現実を創造する鍵だというのでしょうか。

映画『私の頭の中の消しゴム 』に、主人公を演じる女優ソン・イェジンの「ゆるしとは心の部屋を一つあけること」というセリフがあります。

赦せないときは、心の部屋がいっぱいで他になにも入れることができない状態です。幸せのカギに気づくこともできません。

自戒も含めていいますが、過ぎ去っていったことにずっとこだわっていたり、誰かのせいにしたり、何度失敗してもやり方を変えられなかったりすると、うまくいかない状態から抜け出せません。

逆説的にも聞こえますが、自分の弱さや過去の過ちに向き合ってそれを赦し続けることで、今自分が弱さに負けそうだという危険に気づくだけの強さが得られるようになります。気づくということは、もはやその弱さと一体化していないということだからです。

そうすることで、先の幸福心理学の幸福を決める要因のひとつ”幸せな人間関係”を、まず自分との間に築くことができるでしょう。その結果、過去の自分や人を失敗や喪失ではなく、前向きな変容のプロセスと捉えられるようになります。

エネルギーは得るものではなく、出すもの。現実創造の仕組みでは、自分が出したものが返ってくるといわれます。因果応報という言葉もありますよね。

「ま、いっか」と思えるようになったときには、コチコチの心がふわっと緩んでいます。リラックスした自由な心になったときには、「こうしたい」という願いを達成するエネルギーも働き始めます。”情けは人の為ならず”という言葉がありますが、赦しもまた、やがて良い報いとなってブーメランのように自分に返ってくるのです。

参考:ハイヤーセルフと繋がる方法とは? 問題を解決する、自分を超えた答えのダウンロード法