会うとグッタリ疲れたり、自分のダメなところばかりが目について自己嫌悪になってしまう。そのような、あなたを成長させるのではなく、ただ傷つけてしまうという人間関係があります。そこでは「もっと良い人にならないといけない」のではなく、「さらに相手を受け入れることで、人間的に成長しなければならない」わけでもないんです。十分に頑張ったあなた。そこで身の危険を察知したときは、離れたり逃げたりしてもいいんです。ではプラスに向かう、関係の終わらせ方とは? 心理学の投影からお話ししたいと思います。
あなたを不幸にする人間関係、自己愛性パーソナリティ障害、エネルギーバンパイア、投影とは?
スピリチュアルや心理学の学びは、私たちの気づきを促し本来の輝きを取り戻すためのものです。違いを受け入れて、二極性を超えて統合させ、私たちを拡大・成長させるためのものです。そういった意味で、もっとも私たちを磨いて成長させてくれるものは人間関係かもしれません。
参考:男性性と女性性エネルギーとは? 二極を統合させ、仲間と実現できる人になる方法
とはいえ心磨きだからと相手に傷つけられたり、受け入れられないようなことにイエスを言って耐え続けることであなたの命の輝きが閉ざされているとしたら、本末転倒なのかもしれません。
私たちの心には投影という自己防衛のメカニズムがあります。投影は、自分の中で起きていることを他者のなかに見出すことです。とくに自分の中の何かを否定するとき、それを鏡のように相手に投影します。
参考:愛される人になる、望む人生を生きるための「投影(鏡)」の法則。
たとえば自由気ままに振る舞うことを自分に禁じていると、好き勝手に行動する人に強く腹が立ってしまうことで自分が満たしたいホンネに気づくことができます。
また無意識に自分を扱っているのと同じ自分の態度を相手が現すこともあります。たとえば本当は一番に愛して大切にする必要がある自分のことを適当に扱っていると、失礼な扱いをするような相手が登場したりします。それは無意識ではありますが、相手に失礼な扱いをさせることを許しているともいえるでしょう。
投影にハマり込んでいた私の体験談(その1):ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学。
私が思うに投影とは、自分がその資質を持っていると責めるために起きていることではありません。
「これは私がなにに気づいて、もっとラクに幸せになるためのもの?」
「自分が作ってしまった、自分に課したどんないらないルールがあるの?」
と自問自答して、自分の力を取り戻すために利用するものです。
たとえば、もしもあなたが怒るのが苦手だったり、相手を優先できるような共感力の高いひとであった場合。あなたの前には、あなたと同じように優しい人と、無意識かもしれませんが「都合が良い」と利用しようとする人も現れます。
そして、人に対する共感力は高いのに、自分に対する共感力は低く、等身大の自分を認められないときには、「さらに自分を磨かないと」とか「もっと寛大で優しい人間にならないといけない」と、プレッシャーをかけてくる自分も現れます。
そうなると、ますます、あなたを傷つけようとする人に支配されやすい状態になります。
たとえば、そんなあなたを攻撃してターゲットにしてくる人のなかには、自己愛性パーソナリティ障害(以下:自己愛)傾向のある人が挙げられます。ナルシストという言葉を耳にされたことがあると思いますが、英語ではそのナルシストの、ナルシシスティック・パーソナリティ・ディスオーダー(Narcissistic Personality Disorder)と呼ばれます。
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自己愛の人は、他の人から褒められたり、注目されたり、評価されることを求めます。なにか問題が起きたときは100%相手のせいにしたり、うまくいったときは他の人の能力を過小評価して、自分がやったことを誇張したりします。
恋愛関係ではモラハラ、パワハラ、DVなどに発展することも多いです。
すべての人に対してそうなのかというと、マウントをかけられない相手、明らかに自分よりも立場が上だったりする人は上手に立てることができます。
このような説明を読むとナルシストというだけあって、相当な自分好きなんだろうと一見思えますよね。
けれども自己愛の人は自分を愛しているからではなく、自分では自分のダメな一面を認められないために、人一倍、他の人から注目されたり、愛されたり、認められることを求めているんです。
つまり等身大の自分を受け入れることができません。
できる自分、理想の自分だけ受け入れられて、自分ではありのままの自分を愛することができないために、他の人に賞賛されたり、相手を自分よりも落とすことでようやく自分を受け入れることができるのです。
人との関係性でまったく違う振る舞いをしているけれど、自己愛と、そのターゲットにされやすい共感力が高くて「自分はダメだ」と自責しやすい人とは投影関係にあるんです。
つまり「ありのままの自分を認められない」という心のうちを映しているんですね。
自己愛の人の場合、攻撃性を相手に向けます。
自己愛のターゲットにされやすい方は、その攻撃性を自分に向けています。
これが違いです。
そこで思いやり深いあなたは、それを変える必要はまったくありません。自責傾向が強いのも、周りを気遣って自分を高めたいという気持ちが強いためです。それらは長所にもなり得る特性なので、ただ共感を傾ける相手さえ見定めれば、あなたが望む人間関係を育むうえでの力強い力になるんです。
そこで行うことは、ありのままの自分を認めること。
ありのままの自分を認めるとは、ありのままでも否定されないような自分になることではありません。
それは、あなたという感覚に思いやりを傾けて、気遣うということ。
私もこれを長く誤解していて、「(ありのままの自分でも認められるように)もっともっと人間的に成長しないと」と自分を追い込み、その結果、死にかけたり顔面麻痺になって緊急入院したこともあります。偉そうにいえたものではありません。今では良い思い出ですが、できればもう繰り返したくない経験をたくさんしてきています。
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でも、だからこそ、以下のような考えを持つことができました。
思うにありのままの自分を認めるとは、まず現実を受け入れること。
そして常に「変わらなきゃいけない」「向上しなければならない」と別の自分になろうとプレッシャーをかけてくる自分に気づくこと。
「これが今の自分のベスト」「変われない自分も居ていい」とひとまず認めることです。
そのうえで、「さらに自分を磨きたい」と願う自分もいるんだと、自分の中にある正負を認めて、その二極を統合させることだと思います。
そこでまず、相手と一緒にいるとしんどい、傷ついている、ツラい、という自分の感覚を認めます。
自分が適当にあしらわれている、2番目(もしくはもっと下)にされてしまっている、攻撃されている、と感じている気持ちを信頼します。
ここではそれが事実なのかは、いったん置いておきます。そう感じた自分を認めるんです。
悲しみや怒りが湧いたときに、「この人にはこういう言い分(事情)があるのかもしれないから」とか、「人間的にもっと成長するべきで自分が怒りを感じるのは間違っているのかもしれない」と思うことを止めます。
あなたがそう感じているなら、その感覚を大事にしていいのです。
辛いと思う気持ちや、傷ついたという思い、自分を誰よりも信頼してもいいのです。
参考:エネルギーバンパイアとは? 有害な人間関係からメンタルを守り、冷静でラクに生きるコツ
あなたという感覚は、誰かと比べたり、他の誰も変わりに感じることはできないのです。ましてや、他の人よりも劣っているとか優先されるべきではないものではないのです。
自分のホンネを認めることで否定していた部分が統合されることで、抑圧されていたポジティブな面も引き出されます。
すると不思議なことに、「変わらなきゃ」「成長しなきゃ」と思っていたような状態に調っていくんですね。鏡のようにその心を映し、現実でも、あなたが自分を犠牲にすることで成立していた関係性が無くなったり、同じ相手だとしても舐められにくくなったりするんです。
そこで、もっと寛大で優しい人間になろうとするなら、まずは自分に対して寛大で優しくあることです。
呼吸でバリアを作るのも一つ:HSPってなに? 人の気持ちを感じ取れる良い人、敏感な方が心を守るための“呼吸バリア”の作り方。
命がけで相手にNOをいうことも、ときに必要です。
ところが自己愛の人は、そうではない人に比べて正論で話しても分かり合えないことが多いものです。
そこで身の危険を察知したときは、離れたり逃げたりしてもいいんです。それを自分に許しましょう。
考えると明るい気持ちになる人間関係を選び、憂うつになったり気が進まなくなった人間関係はもう選ばなくていいんです。ゼロにするのが難しいなら、相手を喜ばさせる、安心させるために自分が生きているのではないと、心がざわつかない程度の距離感を測るのがオススメです。
人間関係には、自分のなかに認めていないもの、低く見なしている価値に目を向けさせる力があります。
もしもこの世界に自分しか存在しなければ、それを知ることは難しいです。
そこで自分の願いどおりではない振る舞いをする相手がいることで、「私はこういうことが必要だったんだな。自分には大切なことだったんだな。認めていなかったんだな」と自分のその部分に気づき、「これからはそれを認めよう」と、愛することができるんですね。
参考:もう1人で悩まなくてOK! オラクルカードで自分を超える答えを導き出す方法。
だから、投影はあなたを罰したり、「もっと正しい人間」になるために矯正するために、起きているわけじゃないんです。怖いものじゃありません。
相手を憎むという場所に留まる必要もありません。
「これは嫌なんだ」という情報をくれたんだなと感謝します。感謝する気持ちを持つのが難しければ、ただそう思います。
どうしても受け入れられないような人間関係やあなたを傷つけるような人からは離れてもいい。ときにはNOを言ってもいい。そんなふうに自分の人生を自分の手に取り戻すために起きているんです。