すがすがしく年始を迎えるにあたり大掃除をと、お部屋の掃除とともに行いたいのが心のクリーニング。気持ちがラクになるだけでなく、どうにもできない問題を解決して幸せになるインスピレーションも得られます。今回はハワイに伝わる伝統的な問題解決法『ホ・オポノポノ』から3ステップで問題を片付ける、心のクリーニング法についてお話しします。
目次
幸せな状態に戻れる心のクリーニング法「ホ・オポノポノ」の3ステップ。
問題は、作ったときと同じ心の状態では解決できない。
予測不能な事態や自分ではどうにもできない問題ってありますよね。そこで感じるのは、「社会制度が悪い」「コロナが悪い」「国が悪い」「あの人が悪い」「会社が悪い」という腹立たしさや無力感かもしれません。
天才物理学者アインシュタインは、「どんな問題も、それを生んだときと同じ意識レベルでは解決できない」(The problems that exist in the world today cannot be solved by the level of thinking that created them)と言います。たしかに問題もふくめて目の前の世界は自分が解釈して生み出したものです。それを見通せるような高い意識をもたないと、どっぷりハマりこんで出口は見出せません。
そこで思い込みかもしれない自分の視点から自由になって、直感的な出口に向かうインスピレーションを得るのに必要なのが、心のクリーニング。ハワイに伝わる伝統的な問題解決法『ホ・オポノポノ』で重視することです。
ご存知の方も、そうではない方も、具体的なクリーニング法を見ていく前に、まずホ・オポノポノとは何か、その中心となる考え方をについておさらいしておきましょう。
ホ・オポノポノとは?
ホ・オポノポノは、目標という意味の「ホ・オ」と、完璧という意味の「ポノポノ」からなる言葉。もともとはハワイの先住民に伝わる伝統的な問題解決法です。
この古い問題解決法を、ハワイの伝統医療の専門家で「人間州宝」である故モナ・ナラマク・シメオナ女史(1913-1992)が現代社会に合わせて発展させたものが、ご存知かもしれないホ・オポノポノ、「セルフ・アイデンティティ・ホ・オポノポノ(SITH)です。
ホ・オポノポノでは、目の前に起きる問題はすべて、自分の(or宇宙の誕生から今日までのすべての生命体の集合的な)潜在意識のなかの情報(過去の記憶)が再生されたものだと考えます。
自分の内面にある考えが外側の現実を形づくっているという心理学の投影にも近い捉え方ですね。
参考:嫌いな自分を赦せば、愛が叶う。投影を外し、人間関係のモヤモヤを一掃する心理学。
すべての出来事は、100%自分の責任である。
そこでその中心となる考え方は、すべての出来事は100%自分の責任であるというもの。問題はすべて自分のなかで起きているのであって、自力ではどうにもならないようなことだとしても、自分の外で起きている問題はないのだと言い切ります。
そう言われると、ちょっと戸惑いませんか?
新聞を読めば、どうみたって相手が100%悪いでしょと思うような事件があふれています。愛する人の死や突然の病気や事故も、100%自分の責任だとは心理的にも到底思えません。
他人に起こる出来事も含めて100%自分の責任という考え方は、最初はちょっと受け入れがたいものがあります。
私もそうでした。
この記事は、Makiwari Radioで観ることもできます。
でもだまされたと思って100%自分が創造していると捉えてみて感じたことは、力を取り戻せるということです。
以下、ニーバーの祈りをご存知でしょうか。
神よ、
変えられないものを受け入れる平穏さを与えてください。
変えられるものを変える勇気を与えてください。
そして、そのふたつを見分ける知恵を与えてください。
というものです。
ニーバーの祈りに当てはめれば、
「変えられないもの」は、今や過去に起きているさまざまな出来事、目の前の人の気持ちや行動。
「変えられるもの」は、それをどう感じて、解釈して自分の人生に寄り添えられるかという意識の向け方です。
出来事の創造主であるという目線を持つと、責任感が伴うと同時に、現実とはいくらでも変えられるのだという力強さが感じられます。
問題を起こしてくる人、嫌な気持ちになる出来事は、私たちがクリーニングするための機会なんだと捉えると、問題と同じ次元にある自分の意識レベルを上げることができるんです。
問題を再生する、過去の記憶とはなに?
ホ・オポノポノでは目の前の出来事はすべて、過去の記憶の再生だといいます。とくにネガティブに感じる問題は、ネガティブな記憶の再生です。
悩みや病気を抱えていたり、お金や仕事、人間関係で悩んでいたりするのも、過去の記憶のせいだとか。
そういった意味で、自分に責任がある。
でもその記憶をクリーニング(消去)すれば、現実を変えることができるという問題解決法です。
では過去の記憶の持ち主は誰なのかというと、それは自分自身の記憶もあるし、自分という枠を超えて宇宙が誕生してから今日までのすべての生命の記憶も含まれているのだとか。これは、心理学者カール・ユングが説いた集合的無意識という概念にも通じますね。
参考:ハイヤーセルフの眼差し、あなたと私の集合的無意識を同時に癒す「セルフ・コンパッション」の力とは?
ホ・オポノポノで絶対治らないとされた重症患者が面会せずに完治。
そこでホ・オポノポノの興味深いところは、私たちは深い部分でつながりあっているので、自分の記憶をクリーニングすることで、相手の問題も消去できる点です。
他の人に起こる問題も、「その人が問題を抱えていること」を体験している自分の記憶情報を修正することで、解決できるのだとか。
びっくりですよね。
ちょっと信じられないような話なので、現代におけるホ・オポノポノの第一人者、イハレアカラ・ヒューレン博士のエピソードに少し触れたいと思います。
ヒューレン博士が5年間、ハワイの州立病院の特別病棟に勤務していた時のことです。そこは、殺人、レイプ、暴行、窃盗などの罪に問われ、精神錯乱状態にあるとされた囚人患者が収容されていた特別施設だったそうです。
スタッフたちは凶暴な患者に襲われないように壁を背にして歩くことを習慣にしていたほどひどい状態の施設だったとか。
施設に派遣されたヒューレン博士は、決して患者と会わずに治療し続けたとか。ただ患者のファイルを見ていただけで、彼らは立ち直り、次々と退院していったそうです。
絶対に治らないと言われていた重症患者たちも、数ヶ月後もしくは数年後に退院していきました。
心のクリーニング法「ホ・オポノポノ」の3ステップ。
カウンセリングを実際に行うこともなく、報酬を受け取り治療してきちんと効果を出すとは。具体的に博士が行ったクリーニング法とはどんなものだったのでしょうか。
博士自身の言葉です。
わたしがやったことは、「患者を犯罪者と見る、自分のなかにある情報」を消去しただけなのです。その結果、その人は退院することになったのです。わたしは自分のなかから「彼が犯罪者」という情報をすべて消去したので、彼のなかに犯罪者を知る情報が一切なくなり、彼はもう犯罪者にならなくなったのです。
―『豊かに成功するホ・オポノポノ 愛と感謝のパワーがもたらすビジネスの大転換』より
彼が行ったことは、自分の記憶をクリーニングすること。
具体的には、以下の3ステップです。
1. 自分自身に対して、「一体、自分の潜在意識の情報のどの部分から、この人にこのような問題を起こさせているのか(orこのような問題が目の前に起きているのか)」「自分の潜在意識の記憶のどの情報に原因があって、○○○○と言う問題が起きているのか」と尋ねる
(例:上司に嫌われている。ノルマは達成するのが難しい。部下のモチベーションが下がっている、など)。
2. その部分に対して、クリーニングに使う四つの言葉「ごめんなさい」「許してください」「ありがとう」「愛しています」を唱える(口に出さず、静かに心のなかで唱える)。
相手に向かってでも自分に対してでもなく、自分の中にある情報(過去の記憶)に対して唱える。
3. クリーニングをしていると、また別の情報や感情、考えが出てきた場合、1→2を繰り返しクリーニングし続ける。
ヒューレン博士の言葉を用いれば、「わたしたちが自分自身のなかで自分を憎んでいる情報」に向かって言うということ。順番が前後してもいいし、「愛しています」だけでもいいし、相手に腹が立ってしょうがないときなどは感情を込めなくてもいいとか。クリーニング中にめばえた別の情報(例:私は愛されない。現実とはどうしようもないものだ、など)もクリーニングし続ける。
何もないゼロの状態=高い意識レベルの状態。
でもどうしてこのシンプルな3ステップで問題が解決されると言うのでしょうか。
クリーニングをし続けて記憶の覆いが何もないときゼロの状態になって、私たちの深い部分が求めている私たち本来の状態、自由で幸せな状態になると、ヒューレン博士は言います。
その高い意識状態にあることで、わたしたちという枠を超えた問題を解決できるインスピレーションとつながることができるのだとか。
これは、禅修行中に唱え続けていた『摩訶般若心経』にある空(くう)の概念や、ヴィパッサナー瞑想で習った仏教の教えにも通じるところがあります。
うろ覚えで正確ではないかもしれませんが、私がカリフォルニアでヴィパッサナー瞑想合宿に参加したときのこと。S.N.ゴエンカ氏がこんなたとえ話されていました。
参考:これでわかる!マインドフルネスとは何をするのか、どういう状態か。ヴィパッサナーとの違いは?
ある人の時計が壊れた。それが自分のだったとき「あぁ、私の時計が…私の時計が…」と悲嘆に暮れている。でも、まったく同じメーカーの同じ姿形の時計が壊れていても、それが自分ではない誰かのものなら気にもならない。
これと同じように「我(私が、私の、私に、という思い)」が入ることで、私たちは恐れや不安や心配を抱えることになる。自由と幸せから遠ざかっていく。
我(が/エゴ)のフィルターがかかっていないとき、執着のない自由な状態になるので、苦しみも悩みもなくなるという教えでした。
とはいえ完全にエゴを無くすことは無理だし、自分という感覚を持たなければ自分を愛したり守ったりすることもできないので「ゼロにしないと(無我にならないと)!」と自分を追い込む必要はまったくないと思います。
参考:マガジンハウス社員からホームレス編集者へ。 アメリカの禅センターで体験したお金を交わさない豊かな暮らし。 交通事故、顔面マヒで入院し気づいた私のお金のブロックを解除する
とはいえ自分という感覚を薄めていくことでラクになるのは事実だし、実際に過去の記憶からの「べき」とか「ねば」という思考がないときには、とんでもない力が生まれることもあります。
参考:ハイヤーセルフと繋がる方法とは? 問題を解決する、自分を超えた答えのダウンロード法
苦しみや悩みという次元を超え、幸せの状態に戻る。
愛と感謝のパワーにつながって、クリーニング(先に挙げた1→2→3のホオポノポノの実践を)することで本来の私たちに戻るという問題解決法「ホ・オポノポノ」。具体的な心のクリーニング方法についてお話しさせていただきました。
「私が」「私の」「私に」という我(が)で覆われた情報が何もないとき、ゼロの状態になります。ヒューレン博士は、それは執着のない自由な状態なので、苦しみや悩みもない幸せな状態だと言います。そして私たち本来の状態だと。
参考:もう1人で悩まなくてOK! オラクルカードで自分を超える答えを導き出す方法。
もしもどうにもならないと思う問題、考えても解決できない出来事があるなら、一度取り入れてみてはいかがでしょうか。何に左右されているのか、どこに原因があるのかということが私たちの頭ではわからなくても、その問題の原因となっている部分を4つの言葉が消去して、私たち本来の幸せな状態に戻れます。