突然ですが、ビデオを見て集中力を計るテストです。
白い服を着た人が何回バスケットボールをパスするか、数えてください。
そしてその数字をビデオの最後で教えて下さい。
黒い服を着た人じゃなくて、白い服を着た人のパスです。
頑張って!
何回でしたか?
楽勝でしたか?
目が疲れちゃいましたか?
クリストファー・チャブリスとダニエル・サイモンズというハーバード大学の心理学者の実験でした。
では質問を変えます。
何かおかしなものが見えませんでしたか?
実はここで実験されたのは、私たちが正確にパスを数えられるか、ではないんです。
本当に知りたかったのは、横切ったゴリラを見ることができるのかというもの。実験では、明らかに異様な着ぐるみを着たゴリラが画面を横切っていても、約半数の人がそれを見落としました。
あなたはどうでしたか?
私たちは現実をありのまま見ているようで、実は焦点を当てたものしか認識できていません。
例えば白いスニーカーが欲しいなと思っていたら、そういうものを履いている人がやたら目につく。さらに今はAIがビッグデータを駆使して見たものに紐づくレコメンド動画や広告を引っ張ってきたりするから、ますます同じ情報に囲まれて、世界を限定、正当化していきます。逆に言えば他のことにとらわれて、目の前にいるゴリラを見落としやすい状況になっています。
私たちが何をどうみるかが現実を作っています。つまり私にとっての正解、物事に抱く主観的な考え(観念)が、世界と私たちの体験を形作っています。それは私というフィルターを通した断片的な情報なので、ありのままの現実ではありません。
私たちは、目の前の物事から受け取るものを選択し、それに意味づけして、「これが現実だ」と認識します。そしてその限定された現実(思い込み)で生きることになります。
心理学者のフロイトは、私たちの意識で自覚できるのはたった数パーセントで、思考や衝動や行動決定は、ほぼ自分で直接アクセスできない潜在意識の産物だといいます。映画『マトリックス』は、コンピューターの動力源になった人間が夢を現実と思い込ませられて培養されているという話ですが、私たちは確かに、自分自身が作った思い込みの夢を見ている状態です。
困難なことばかり起こる。
決して豊かになれない。
という現実が目の前にあるなら、まずその観念を書き換える必要があります。なぜなら、観念がアクセスできる情報を限定し、それをどう解釈するかを定めるからです。受け取る情報や解釈が変われば、決断や行動も変わります。すると体験する現実も変わります。
望まない観念は、恐れから生まれます。一種のサバイバル本能です。つまり、どんな嫌な状況でも、恐れを直視することで、実はそこに必ずその状態のままでいるメリットが見つかります。顕在意識では「お断り」でも、潜在意識は「安全だ」と思っているのです。そこを掘り下げていきます。
例えばお金が少ないというチャレンジがあるとします。これを深く見つめていきます。お金が少ないメリットを思いつくだけノートに書き出します。病気、愛する人がいない、仕事が嫌だなど、他の言葉に置き換えることもできます。書き出せるだけ書き出します。少し気が滅入りますが、できるだけ本音に向き合います。
やってみると、こんな感じになります。
例:(私の観念)お金が少ないことのメリット
*妬まれたり、うらまれない、奪われない
*人から憐れんでもらえる、気遣ってもらえる
*サポートによって繋がっていられる
*純粋に“私”という人間で繋がってくれる真の関係がわかる
*忙しくない。仕事で時間を振り回され無い
*ムダな税金の支払いが少なくて済む
このメリットから共通する“恐怖”を洗い出します。太い根源的なものを見つめます。
上の例だとお金は“つながりを無くすもの”という思い込みがあり、これが一番の恐怖であることがわかります。
そこで観念を反転させる際に、“つながりを生む”という視点からお金を持つメリットを書き出します。
お金が少ない場合のメリットを逆転させるような形で書き出します。以下のようになります。
例:(私の観念の反転)お金を持つことのメリット
*応援し、エネルギーを与え、徳を積める
*お互いを高め合い、協働できる
*サービスを交換することで繋がっていられる
*真価を見る目があれば、真の関係はわかる
*さらに自由になれる
*税金でより社会をより良くすることもできる
このようにワークしていくことで、まず恐れ(お金はつながりを破壊する)を洗い出して、それを直視する。そして、お金が少ない状態がイヤだと思っているのに、実は潜在意識ではその状態が安全と選択していたことを理解します。そして顕在意識に浮き上がってきてくれたその観念を「お金があることでよりつながりを深められる」という新しい観念に書き換えます。ネガティブな思い込みを前向きなものにシフトしていくんです。
観念が切り替わることで、目にする耳にする情報も変わり、発想も決断も新しくなっていきます。顕在意識で潜在意識を書き換えたので、同じ現実でもその景色が変わります。例えるなら、以前地面から見ていた風景を山から眺めるような、かつて見ていた地上の景色も見えるけど、視野が広がって全体像がとらえられるような感じです。それに伴って望む方向への知識や技術を自然と学ぶ運びになり、適切なタイミングで適切な人やものと出会うようになっていきます。
嘘みたいな話だけど、目の前のことはものすごいリアリティで迫ってくるけど、
本当に現実は、ただただ自分が創っているんですよ。
つまり、その体験は自分で変えることができます。