トランスパーソナル心理学におけるハイヤーセルフとは、あなたの高次元の意識状態のことです。それはあなた以上にあなたのことを理解し、誰よりも尊重し、無条件に愛し支えてくれる存在。真実のなりたいあなたです。ハイヤーセルフは視野が高く広いため、つながることで解決できないことのヒントや夢を叶えるためのリソースを得ることもできます。そこで必要なのがインナー・チャイルドを癒すこと。一体なぜでしょう? インナー・チャイルドとはなにか、具体的な癒し方についてお話しします。
目次
つらい状況は、インナー・チャイルドを満たすためのサイン。
解決したい悩み、叶えたい望み、やり遂げたい目標があっても、なかなかそれがうまくいかないときがあります。とてもつらいですよね。そんなときこそ、あなたのインナー・チャイルドを癒すチャンスです。インナー・チャイルドを認めて喜ばせることは難しいことではありません。それどころかとっても楽しい時間です。そして普段は意識できない無意識層の高次元のあなた、ハイヤーセルフとつながるためにも大切なことです。
インナー・チャイルドとは?
インナー・チャイルドとはなんでしょう? それは、あなたの内なる(inner)子ども(child)のこと。
内なる子ども? ちょっとイメージがつきにくいので、具体的に説明します。
今は大人のあなたも、子ども時代を生きてきましたよね。当時は、洋服が汚れることを気にせず泥んこになって砂遊びしたり、カロリー度外視でアイスクリームを食べて満面の笑みを浮かべたり、ただ走り回っているだけでも嬉しくて楽しくて。
そんな可愛らしい無邪気な姿だけでなく、欲しいおもちゃをねだって手にいられずに泣いたり、きょうだいケンカで大声をあげて怒ったりと、成長した今よりもずっと遠慮なく、自分の欲求や感情を表していたと思います。
インナー・チャイルドは、そんな子ども時代の自分の考え方や行動パターンのことです。そして今なお大人になっても、誰にでも心の内側に自分の一面として存在しています。
インナー・チャイルドを癒し、ハイヤーセルフとつながる。
そんなインナー・チャイルドを喜ばせることがなぜ必要なのでしょうか。
自分が設定した限界を超えて、より大きな幸せとつながるための心理学、トランスパーソナル心理学。そこでハイヤーセルフとは、私たちの高次元の意識状態のことです。高次元とは、文字どおり通常よりも高い次元にあるということ。
私たちには普段の自分には気づくことができない自分の領域というのがあります。そこには、やりたいことを認めて実行できている、未来のなりたい自分という領域もあります。
高次元の私たちの意識であるハイヤーセルフは、木よりも森を見るような視座で私たちの人生を認識することできます。私たちが見えていない可能性をも捉えることができるために、未来のなりたいあなたも、生きる目的や存在理由が見えずに苦しむあなたのことも両方見えています。
参考:ハイヤーセルフと繋がる方法とは? 問題を解決する、自分を超えた答えのダウンロード法
ハイヤーセルフとしての私たちは、普段は意識できない無意識層にありますが、いつでも無条件にもがいて苦しんでいる私たちのことを愛して支えてくれているんです。私たちが望む方向に進み、幸せに生きるためにサポートしたいと思っています。
社会的なルールで生きるときに様々な制約が生まれることで、私たちは通常、本来の自分を認められない傾向があります。経営者にも高く支持されている現代経営学の父、ピーター・ドラッカーが1949年に書いた論文でも、人間というのは、社会の中でこうあるべきだという自分と、スピリチュアルな自分という2つの自我の緊張状態で生きていくしかないと語られています。
ときに悩み立ち止まってしまうことは悪いこととではなく、社会的自我と霊的自我のバランスを見出そうとしている美しい行為ともいえます。
例えば本音がわからない、どうしたらいいかわからないというのも、あなたの優しさの表れでもあるんですね。社会の常識や価値観、親、学校、会社、世間に期待・要求されるものに応えようと一心になって頑張ってきたから、周りの価値観とあなたのそれが合体して区別できなくなっているんです。だから、暗闇のなかで動けないような自分にダメ出ししたり責めるよりも、まず自分のことを後回しにして「周りの期待に応えたい」と頑張ってきたあなたを労ってあげてください。
インナー・チャイルドを癒すために一番に行うことは、「頑張ってきたね。もう一人にしないよ」と抱き締めてあげることです。
そして制約を感じてあなたが苦しかったり、生きる喜びが感じられないとしたら? それは「もうあなたの命を最優先して大切にして良いんですよ」というハイヤーセルフからのサインです。つまりハイヤーセルフとつながるなんて自分には無理だ、と思っていたとしても、苦しい自分に気づけた時点で、あなたは、しんどい、辛い、苦しいという本音、ハイヤーセルフからの呼びかけを心でキャッチできています。難しく考えなくても大丈夫。あとは、その声に耳を傾けて行動に移せばいいだけです。
ハイヤーセルフとつながったときに抱く気持ちは?
そのためになぜインナー・チャイルドを癒す必要があるのでしょうか。
それを理解するために、まず私たちがハイヤーセルフとつながり、本来の自分に戻っているときは、一体どんな感じがするのかを知っておきましょう。一番実感としてわかりやすいチェックポイントは、どんな気持ちでいるのかということです。
より具体的には、エイブラハムの感情の22段階に当てはめた場合の一番次元の高い感情、
喜び/智/溢れる活力/自由/愛/感謝、がハイヤーセルフの意識状態を感情で表した状態です。
参考:感情の22段階と現実の7次元について。忘却のゲームから抜けて、統合に向かうためには
これは、私たちがただやりたいことをやって、理由はなくても行きたいところに行き、自由と喜び、ありがたいなぁという気持ちを感じながら、愛に包まれている状態ではありませんか?
お金になるからそれをやるのではなく、ただ描きたいから絵を描く。理由はないけど、なんとなく惹かれると行ってみたいから訪ねてみる。悲しいときは十分泣いて、心から大笑いする。そんなインナー・チャイルドであるあなたの一面を子どもっぽいからと封印する必要はありません。
とくに行き詰まりを感じて苦しいとき、犠牲になっているような気持ちになるとき、やりたいことや生きがいが感じられないときは、インナー・チャイルドが大切に可愛がられること、インナー・チャイルドを生き生きと喜ばせることが大切です。それはハイヤーセルフとつながるためにも必要なことです。
なぜならハイヤーセルフの高い視点から見れば、あなたという個は一人の命であると同時に、集団の命の一部でもあるからです。つまり、あなたが自分を大切にするという責任を持つことは、周囲を本当の意味で大切にし、調和を保つことになります。
具体的には、インナー・チャイルド、より純粋でコアなあなたの心を満たすことで、余裕が生まれ、他人や状況に対してより寛容になっていきます。逆説的に聞こえますが、内なる子どもを適切に満たすことで、私たちはより成熟した人間になり、おのずと周りに目がいき、貢献できるようになるのです。
この記事は動画で観ることもできます。
インナー・チャイルドを満たすための具体的な方法。
今回、なぜインナー・チャイルドの癒しについて書こうと思ったかというと、実は私のテーマでもあったからです。最近「あれをしよう」「これをしてみよう」と思ってチャレンジしていて、それはとても素敵なことなのですが、ちょっと頭でっかちになっていると気づき、初心に戻れたんです。インナー・チャイルドを満たすタイミングだなぁと。
意識の探究は、考えて理解するだけではなく感じて腑に落とすことがとても大切だなぁと改めて感じました。そこでこちらで皆さんにシェアしたいなぁと思ってテーマに選びました。
そう実感したきっかけは、ペルー人のクアンデロ(男性祈祷師)であるエミリオからの連絡でした。前向きな話をしていたのですが、ズバリこう言われたんです。
参考:プルシャとプラクリティ
あなたのインナー・チャイルドがワクワクして、喜ぶものってなんですか?
あなたが幸せになれることは? 元気になることは?
ちょっと真面目すぎる感じになっているようだから、力を抜いたほうがいいね。
インナー・チャイルドを満たして、子どものように人生に好奇心を持って。
スピリチュアルや心理・精神面の探究から少し離れ、ゆったりする時間も作ってみて。
深く納得しました。というのも個人的に、カウンセリングやエネルギーワークをおこなうときにとても大切だと思うのは、自分のエネルギーを整えておくことだからです。
その人にとって必要なセッションをと文献を読んだり瞑想したりと準備しておくことも大切ですが、言葉で的確なことを伝えたり全身全霊でワークをおこなっても、自分のエネルギーが相手のハイヤーセルフとのクリアなパイプになっていないと癒しの許可が得られません。これはセッションに限らず、答えやヒントが欲しいときや、会議やミーティングで深い対話を得たいときも同じです。
エゴの制限(世界はこういうものなんだという繰り返しの刷り込み/観念のフィルター)から自由なエネルギー場にどっしりと、でも心地よく在る必要があるんですね。
参考:一緒にいると、本当に癒される人の特徴。良いヒーラー、カウンセラーの役割、選び方とは?
1. 寝ることで、思考の悪魔のささやきを強制終了。
そこでエネルギーが落ちているなぁと思うときは、私は思考を強制終了して寝ることにしています。「えっ?!眠っちゃっていいの?!」と思う気持ちももちろんあります。けれども経験上、ジタバタ頑張ったところでエネルギーが落ちているときにやると視野が狭まっていて悪循環だとよくわかったんです。もっともそれが腑に落ちたのは、昨年末に重度の顔面マヒで緊急入院したとき。今でも顔が動きにくくなってきたら、それをコンパスにして一旦エネルギーを変えるためにも思い切って寝ています。
参考:病気が贈ってくれた、ホリスティックの真の意味とそのギフトについて
すると、えぇ〜と意外ですが、目覚めると不思議に問題が解決されていたりするんです。そうでない場合でも、瞑想の後のまどろみのような、脳波がα波の状態になっているので、少しゆったりとした視野で物事を捉えられるようになります。寝る前はこだわっていたことがどうでも良いと思えたり、見落としていたけど重要なことが見えてきたりもするんです。その結果、安らかな気持ちで解決の糸口を見出せたりします。
参考:頑張りたいのにやる気が出ないのにはスピリチュアルなワケがある。あなたの無気力感から抜け出すためにできること。
2.ハイヤーセルフとの一人デート。
行き詰まりを感じているときや、犠牲的な気持ちになっていたり、良いアイディアが浮かばないようなときは、一人で気ままにお出かけします。「もっとやらないと」「動かないと!」と思っているときは、なかなかそれが許せないものですが、そういうときほど必要なんだなと、先日も実感しました。
デート中は、心の中でひとり二役します。怪しいですか? でも大丈夫です。外めには普通のおひとりさまですから。けれども内側では、「何が食べたい?」「どうしたい?」と確認してくれ、思うことや言うことを受け止めてくれる理想の人と一緒にお出かけしているイメージを持ちます。
あるいは「あなたは〜と思っているのですね」「ではその次はどうしましょう?」と欲求を確かめてくれる超有能な執事かカウンセラーと一緒だ、と思うのも良い感じです。その日の自分にとってピッタリくる相手を演じてみます。
カール・ロジャーズの傾聴的態度で、高い次元であなたに寄り添う。
理想のパートナー役を演ずるにあたっては、臨床心理学者カール・ロジャーズが考えるカウンセラーに必要な3つの基本的態度が役立ちます。これはハイヤーセルフのあなたが、普段のあなたに寄り添っている状態とも言えるでしょう。それは以下です。
1. 自己一致(純粋性): (カウンセラーが)自分自身の気持ちに嘘をつきません。ありのままで純粋です。「感じていること」と「言っていること」の間にずれがない状態です。
2. 無条件の肯定的配慮: クライエント(患者)の考え方や捉え方を受け止めて尊重します。「こうあってほしい」「こうするべきだ」という条件や指示を与えず、受け容れます。
3. 共感的理解: クライエントが感じることを自分のことのように親身になって聞きます。ともに歩んでいく姿勢を保ち続けます。でもそれにのめり込んでしまわないこと。
私は、エミリオとやりとりした翌日は早速ひとりデート先として、ずっと気になっていた紅茶店を選びました。
片道2時間もかけていくのが紅茶店?ですが、明日の自分はいけないかもしれません。インナー・チャイルドの欲求は旬が命なんです。満たせるタイミングで即実行しましょう。大きなことをする必要はありません。
参考:願う現実が引き寄せられないなら。微細な望みをキャッチし、叶える簡単なコツ
お出かけで手に入れたお茶は、外で母とおこなう朝の瞑想の合間にいただいています。カカオとブルボンバニラの香りの紅茶ですが、寒くなってきたので毎朝2種類やっている瞑想の中休憩でいただくと、心と体が満たされます。自宅でも楽しめるものを手土産にすると、一人デートを終えた後も、インナー・チャイルドを引き続き喜ばせることができます。
あなたには自分の願望を叶える力がある。
このようにあなたのインナー・チャイルドを癒す、ひいてはあなたのハイヤーセルフとつながることとは、あなたを愛することです。それはあなたのお気に入りを発見することとも言えます。自分を満たすとは、自分でお気に入りの世界を完成させていくことです。
アドラー心理学やマインドフルネスでは、“ありのままの自分を受け入れる”大切さが説かれますよね。つまり子どもじみていると封印した自分の一面、インナー・チャイルドも大切にして認めること。しかしインナー・チャイルドを満たそうとは、世間のルールを無視してわがままに振る舞おうとか、わざわざ嫌われ者や変わった人間になることを勧めているわけではありません。
参考:ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学。
そうではなく、ただ考えるよりも感じる時間をもう少し大切にしてみる。ちょっとリラックスして、あなたの喜びや安らぎを満たしてあげましょうというお誘いです。きっと自分でも驚くほど、心がぽっと温かくなったり、ホッとガス抜き出来たりしますよ。
そんな時間は持てない、余裕がないと思うときこそ、思い切って勇気を出すつもりであなたのインナーチャイルドを満たしてあげてみてください。そうして少しずつ自分自身に戻っていくことで、今まであなたを縛ってきた壁や問題もしだいに壊れ、ハイヤーセルフとつながる時間が自然と長くなっていきます。