ハイヤーセルフとは、高次の意識次元にある自分のこと。ハイヤーセルフとつながることで、ずっと解決できなかったことの答えや気づきを得ることができます。そこで必要なのは脳内の口グセを変えるだけ。お金も手間もかからないけれど、強力なメソッドです。金メダリストやトップ経営者を指導してきたメンタルトレーニング指導の第一人者・西田文朗さんの『かもの法則』を参考に、脳内の口グセを変換し、ハイヤーセルフとつながる究極の方法についてお話しします。
目次
脳内の口グセを変えるだけ!ハイヤーセルフとつながる究極の3ステップ。
ハイヤーセルフの目線、2つの特徴。
ハイヤーセルフ(Higher Self)とは、トランスパーソナル心理学において、より高い次元の自分、その意識のことです。私たちの通常意識と比べて、2つの特徴があります。
一つ目は、ハイヤーセルフの目線は高いです。木よりも森を見るように、出来事や状況の全体像をつかむことができます。
たとえば大迷路のなかにいると、あっちへ行ったりこっちへ行ったりしても、なかなか出口に到達できませんよね。でも、上空から迷路を見下ろせば、右へ行って次は左、と簡単にゴールに達するルートが分かります。それと同じで、ハイヤーセルフの高い目線(メタ視点)では、問題から脱出する方法も簡単にわかります。
二つ目は、無条件の愛のまなざしを持つということ。たとえば2歳ぐらいの子が一生懸命お話をしています。「お水をください」と言いたいけど、まだうまく発音できないので「おんじゅっさい」と言っているとします。
その様子を見て、「あぁかわいいなぁ〜」と思いませんか? 「下手くそだな!なんでちゃんと『お水をください』と言えないんだ?」と怒りがわいたり、さげすんだりはしないと思います。その一生懸命な様子が、とにかく愛らしい。
「大丈夫。すべてうまくいっている」「なんて愛しいんだ」
ハイヤーセルフの目線では、そう自分のことや世界を愛のまなざしで捉えることができます。となると無駄な力みが抜けて、行き詰まりからも抜けられる。愛は脳を最高の状態にするので、夢や願望実現にまっすぐ向かうこともできるのです。
参考:ハイヤーセルフと繋がる方法とは? 問題を解決する、自分を超えた答えのダウンロード法
ハイヤーセルフとつながれないのは、脳の設定のせい。
では、なぜそんなハイヤーセルフとつながることができないのでしょう。それは、脳の「かも」思考のせいだというのが、西田文郎さん。西田さんは、金メダリストやトップ経営者を指導してきたメンタルトレーニング指導の第一人者です。
彼の『強運の法則』は、本で1万6500円というびっくり価格。がしかし、Amazonでの高レビューを誇ります。青汁王子こと三崎裕太さんも大絶賛(気になるったらありゃしない…)。その金額ゆえ、なかなか手が出なかったのですが、この本は、近日読了後にまたこちらでご紹介しますね。
読了しました!強運の法則について:「強運の法則」が明かす、全宇宙が味方する成功と豊かさに必要な8つの条件とは?
さて今回は、より手にとりやすい『かもの法則』より、西田メソッドを紐解きます。この本もとにかく説明が秀逸。深い内容をクスッと笑わせる表現で説明していて、うならされました。
ハイヤーセルフとつながる、「かも」の法則とは?
西田さんは、人の心には二羽の「かも」が棲んでいるといいます。
一羽目は、「否定的なかも」。
たとえば、
「成功したい。でも、できないかも」
「夢をかなえたい。でも、かなわないかも」
「健康になりたい。でも、治らないかも」
という願いを打ち消す仮定をする思考のことです。
そして、私たちの脳は、「したい」という願望のほうではなく、この否定的な「かも」のほうを実現してしまう仕組みになっているそうです。
これは引き寄せの法則と同じ論理ですね。思ったことが現実化するということです。さらに、心理学ではサバイバルの観点から、不安や恐れなど、否定的な気持ちの方が強い行動要因になるといわれます。そこで悪い予感ほど実現しやすい、となるんですね。
対して二羽目は、「肯定的なかも」。
たとえば、
「今回はダメだった。次は成功するかも」
「病気になった。この経験がいつか生きるかも」
「断られた。むしろツイているかも」
という願いを強化する、ポジティブな仮定思考のことです。
そこで西田さんは本田宗一郎さんの以下の言葉をあげています。本田宗一郎さんは、高等小学校(小学校)を卒業し、一代で車やオードバイのホンダを築いた日本を代表する創業者です。
「私の仕事はすべて失敗の連続である。99%は失敗の連続であった。そして、その実を結んだ1%の成功が現在の私である」
―『かもの法則』内引用より
つまり、成功した人とは、人一倍失敗した人で、成功するまで諦めなかった人というのです。
そう、肯定的なかも」を持つ人は、ハイヤーセルフの意識状態にある人といっても過言ではないんです。
なぜなら
(その1)先が見えない迷路のまっただなかでも、出口を見通すような視点を持っている。
(その2)周りの人たちが失敗だとか、どうせ無理だから止めろといっても、「これでいいのかも」「きっと次はうまくいくかも」と愛のまなざしで、自分が歩む成功のプロセスを信じているからです。
ハイヤーセルフ脳に変える究極の3ステップ。
そこで、ハイヤーセルフ脳ともいえる、「肯定的なかも」にどうやって「否定的なかも」を置き換えられるのでしょうか。
本書から私が思う3ステップを挙げたいと思います。
①ウソでもいいから脳内口グセを「肯定的なかも」に置き換える。
西田さんは、ウソでもいいから、「否定的なかも」が生じたら、「肯定的なかも」に置き換えればいいと言います。
たとえば
(否定的なかも)「多分断られる」
(肯定的なかも)に変換
→断られないかも。
→千人当たってみればいいかも。
→この経験がいつか生きるかも。
→もっと良い方法があるのかも。
どうしてもそう思えないなら、「もしかしたら」「なんとなく」「理由はわからないけど」「ひょっとしたら」などを加えてもいいでしょう。
(どうしても思えない場合)
→もしかしたら、断られないかも。
→なんとなく、千人当たってみればいいかも。
→理由はわからないけど、この経験がいつか生きるかも。
→ひょっとしたら、もっと良い方法があるのかも。
アメリカの有名な内科医・ディーパック・チョプラ博士は、私たちの思考(1日に6〜9万回程度)のうち9割は、前日の繰り返しだといいます。つまり1秒につき1回から2回弱思考するという計算になるので、ほぼ無自覚に現在や未来の運命を定めてしまっていることになります。
つまり、脳をそのままにしておくと、成功体験が少ない領域に関しては、過去の経験から「否定的なかも」に支配されてしまう。するとこれまでと同じ「できないかも」という予感に従った行動しか取れなくなるというのです。
参考:思考の9割は昨日の繰り返し。無意識の選択を超えて、望みを実現する方法。
そこで「うまくいくかも」という新たな肯定的な未来予測を設定し直す。すると予感を抱いた瞬間から、脳のフィルターが変わり、「どうしたら実現できるか」を探し始めます。そして「できるかも」「うまくいくかも」という予感に基づくひらめきに従って行動した結果、できない思い込みや行動を打破できるとか。
②「すべては自分のせい」と思考を変え、答えをつかむ。
そして次におこなうのが、「他責」の考えを「自責」に変換すること。
「他責」の考えというのは、なにかがうまくいかない理由が、状況や環境、自分以外の誰かやなにかのせいだという考え方です。
「否定的なかも」が脳内に蔓延すると、他責思考になって、自動的に責任転嫁という守りに入ります。
それに対して「自責」の考えとは、すべては自分に責任があるという考え方です。
一見厳しく聞こえますよね。どう考えたって、私のせいじゃないってこともたくさんあると思います。
しかも「コロナのせい」「あの人の仕事が遅いせい」とうまくいっていない現状を何かや誰かのせいにすると、ちょっと気がラクになるようにも感じます。
しかし、これが「否定的なかも」の迷路に迷いこんでしまう原因。
というのも、「他責」思考だと大前提として、問題に対処できるのは自分以外の誰かやなにかだけ。自分には解決できる能力がないと、力を明け渡すことになってしまうんですね。となると、望ましくない未来の「かも」にますます支配されていきます。
そこで、
「これは自分の責任かも」
「この問題は自分に与えられた課題かも」
「もっと別のやり方を選べばいいのかも」
「ピンチはチャンスかも」
と、「肯定的なかも」に脳内変換しつつ、世界を主体的に捉えます。
これは、最適な答えにつながるハイヤーセルフの視点と同じ。
参考:ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学。
③「詰めのかも」で「できる」期待感を高める。
答えやヒントがつかめたら、行動に移せということですね。
しかし、そこで「やる気を出せ!」と強要されても、やる気は出ないと西田さん。
「前向きになれ」「元気を出せ」とどんなに励まされても、うつ病の人は元気になれないし、かえって落ち込んでしまうケースもあります。
そこで、思い通りにならない心を思い通りにする方法がたった一つあるとか。
それが期待感を高めるということ。つまり、実行に移したときに必ずぶつかる困難、つまづきに際しても、「肯定的なかも」を忘れないということです。
そして、「こうするほうがいいかも」という検証、つまり「詰めのかも」を重ねることが大切。
たとえば反応が悪かったものはなにが悪くて、良かったものはなにが良かったのかをしっかり分析します。
検証し、詰めて、徐々に確信に変えていくという、「詰めのかも」というプロセスです。
最初からうまくいくと、このプロセスを経ることができません。「ストレートにうまくいった方がラク」「絶対そのほうがいい」と思いますよね。
ところが、私たちの魂は、成長と拡大という体験にゲーム性を感じています。だから魂レベルでは、失敗というストーリーも求めているんです。
最初から自信や確信は求めていないんです。
それを理解しつつ、「じゃあ、今はどっちを選びたい?」と選択できるのが、ハイヤーセルフの視点です。
うまくいかずにまず脳がストレスを感じる。そこで試行錯誤しながら、少しずつ問題を解決することで、ドーパミンなどの強力な快楽物質が分泌されて、喜びや幸せな気分を抱くのです。
さらに過去の成功があれば、9割が前日の繰り返しという脳の設定も自動的に置き換わります。
そこで失敗しても、「これも楽しんでいるのかも」「良いことにつながっているのかも」と、めげないこと。そして、「どうしたらできるか」を考えます。
すると、脳は、「どうしたら良いことになるか」「どうしたらできるか」という答えを脳に問いかけつづけます。さらに、努力する必要がないこと(例:苦しいだけの努力)と努力する必要があること(例:喜びにつながる努力)も明確になっていきます。
まとめ
今回は、メンタルトレーニング指導の第一人者・西田文郎さんの『かもの法則』を参考に、脳の設定を変えて、ハイヤーセルフとつながる方法についてご説明しました。深い内容ですが、クスッと笑える絶妙の表現にかみくだいて書かれているのでとても読みやすくてオススメです。ピンとこられた人はぜひ手にとってみてくださいね。
過去の失敗も現状の行き詰まりも、「否定的なかも」から「肯定的なかも」に変えることで打ち消せる。そこで心理的な限界を超えて、夢や幸せに向かえる。
お金も手間もかかりません。必要なのは、心の中の口グセの「かも」を変えるだけです。
「どうせムリかも」「私はダメかも」という悪魔のささやきに気づいたら、試しに「できるかも!」「ひょっとしたら、成功するかも!」「なんかわからないけど、イケるかも!」と思い詰めず、ぜひ脳内変換してみてくださいね。