恋愛において投影は、自分を深く知る重要な役割を果たしてくれます。恋愛初期やうまくいっているときは相手が素晴らしく、自分は愛される価値ある人物だと感じることができます。一方で、ダメな相手や関係性に惹かれるのは、自分の認められない一面を相手を通して映し出しているのです。今回は、健康的な恋愛関係に大切なことをお話しします。
目次
恋愛における投影とは? 不毛な関係や、ダメな相手に惹かれてしまう理由
恋愛において投影は、自分を深く知るための重要な役割を果たしてくれます。
その典型的な例は、好きな相手に自分の思いを反映させるというものです。
そこで恋愛初期や関係性がうまくいっているときは相手が素晴らしく、
自分は愛される価値ある人物だと感じることができます。
自分の中にある光を、相手に見るんですね。
一方で、ダメな相手に惹かれてしまったり、
苦しいパターンを繰り返してしまうのは、
認められない自分の一面を相手や関係性を通して映し出しているためです。
封印している自分の中の影を、相手や関係性に映しているんですね。
そこで、無意識に相手を遠ざけてしまったり、
自分を傷つけるような人や関係性に身を投じてしまうのは、
自己価値の低さや、過去の関係性(過去の恋愛や親との関係性など)のせいかもしれません。
そこで、今回は恋愛関係における投影とはなにか。
そして、健康的な恋愛関係を築くために大切なことを見ていきます。
投影とは?
投影とは、自分が思っていることを、相手や目の前の出来事に映し出すことです。
つまり、自分の心の内側を外側の世界に映し出しているんですね。
まるで鏡のように。
たとえば、あなたがとても怒っているとき、鏡には怒った顔が映っているでしょう。
心の中には、嬉しい気持ちや悲しい気持ち、怒りや恐れなどいろいろな感情があります。
また、自分で自分のことを好きだったり、こういうところはダメだと思っていたりという、自己評価もあります。
投影では、そんな心の思いが、外側の現実によって見えるんですね。
そして、鏡のように映し出す相手は、本当の鏡ではなく、他の人や目の前の状況です。
参考:嫌いな自分を赦せば、愛が叶う。投影を外し、人間関係のモヤモヤを一掃する心理学。
潜在意識と投影
では、なぜそんなことが起きるのかというと、自分の心を無意識に守っているんですね。
つまり投影とは自分のことを守るために働く
潜在意識の働き。
心理学では、防衛規制と呼ばれています。
不安や心理的な脅威から自分の心を守っているんです。
そして、潜在意識は、意識されていない心の領域で、
私たちの感情や願望、トラウマ、過去の経験などが保管されています。
つまり、自分が自分のものと自覚していない(受け入れていない)感情や欲求を外の世界に投影することで、「私のものではない」と、内面的な葛藤や不安を軽減しようとしているんですね。
自己が抱える不安や、認めたくない欲求を
他者が引き受けることで、
私たちは一時的に責任を回避し、自分の心を守ることができます。
投影には、そうすることで、無意識の負担を軽減しようとする効果があるんです。
そして、自己像を維持する役割も果たしています。
だからといって、投影がある自分は悪いと責める必要はまったくありません。
そもそもまったく投影がない人はいません。
私たちはそれぞれ自分の心を通して世界を解釈していますから。
そして、投影には心や自己像を守るという役割もあります。
その一方で、同時に歪んだ認識や誤解を生み出す可能性もあります。
ときには、それが幸せに、もっとラクに生きることを阻んでいることもあります。
そこで、投影のことを知っておき、潜在意識のトラップから自由になることがとても大切なのです。
参考:現実とは投影。私たちの波動が「現実の経験」を創造している。
恋愛で投影の影響が強まる理由
恋愛関係における投影は、自己認識(自分が自分のことをどう思っているのか)、無意識の願望、恋愛の信念(恋愛とはこういうものだという考え方)や過去の経験などが、パートナーや関係性に投影されることを指します。
そして恋愛では、投影の光も影も強まります。
その理由は、いくつかあります。
ひとつに恋愛関係では、
「あの人が好き!」「一緒にいたい!」と、
情熱的な感情や強い欲求を引き起こします。
この感情の高まりは、
自分と他者との境界を曖昧にします。
その結果、自分の内側にあるものを相手に投影しやすくなるのです。
また、恋愛関係では、欲求とともに不安も強く刺激されます。
自尊心や愛されたいという欲求が高まる一方で、
傷つけられたり拒絶されたりすることへの不安も生じます。
このような不安や欲求が現れることで、投影がより強まるのです。
そして、過去の恋愛経験やパターンが、現在の恋愛に影響を与えることがあります。
過去の経験が投影によって再現され、
相手に対して同じような行動や特性を期待したり予測したりすることがあります。
良いパターンも繰り返されますが、
悪いパターンも無意識に続けてしまうんですね。
ダメな相手に惹かれてしまうメカニズム
ダメな人に惹かれてしまうメカニズムも、投影で説明することができます。
たとえば、はたから見ていてとても素敵な人でも、その人自身の自己評価が低い場合。
自分にふさわしいと感じるパートナーを見つけるのが難しくなります。
ダメな人に惹かれることで、「自分には他に選択肢がない」という無意識の信念を強化しているんですね。
また、自尊心が低いとき、他人に承認や愛情を求める傾向があります。
たとえば、要求ばかりしてくる人に従ったり、振り回される関係性を受け入れることで、
相手が自分を必要としているように感じるという、共依存に陥っている場合もあります。
さらに、自分が自分に対して思っていることと、パートナーに対して思っていることの両方を
関係性を通して、見せつけられることもあります。
たとえば私の場合、離婚後に積極的に押してくれるのに、逃げ腰になる相手が続いたんですね。
「何かあれば頼って」というのに、ギリギリまで踏ん張った後に、頼ると連絡がつかない…みたいな(苦笑)。
しかし、それを何度繰り返されても、私は気づかないんですね。
なるべく相手に対して重くならないように配慮しているんだけど、
やっぱり、私が悪いのかなーと反省していました。
そして、ある日はたと気づいたんですね。
私自身が、私のことを、肝心なところで見捨てているなぁと。
たとえば、体を壊すまで自分を犠牲にしてやりたくないことをしたり、
いざというときに、本当は欲しくないほうを我慢して選んだりしている。
しんどいのに、一生懸命に受け入れたり、無理やり許したりしている。
そういったパターンは、少しずつ、死にかけたり、病気になったりした経験で痛感しました。
参考:ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学。
今はしれっと「こういうメカニズムですよ」と書いているように見えますが、本来頑固で理解が遅いんですね。
本当にいろんなことがあって、ようやく腑に落とせた感じです。
そこで、素直な方ほど、ヒーリングは早いと思います。
私の場合、自分のことを大事にできていないので、自分が自分に対するのと同じように私を扱う相手が現れる。そして、そういう関係性こそが自分に値すると自分の信念を強化していたんですね。
すると、自分の信念を強化するような状況が外側の現実として現れます。
顕在意識では嫌でも、潜在意識はそちらの方がしっくりくるので心地いいんです。
「あ、やっぱりそうだよねー」と、無意識にホッとするというか。
これまでのパターンの繰り返しの方が、慣れているので、頭では嫌でも潜在意識はラクなんですね。
だから、もうそういったパターンや終わりにしたいと頭ではわかりつつも、生き方が変えられない。
するとついには重度の顔面麻痺になったんです。
もうムリ!!!(世界の中心で、嫌だを叫ぶ)と心底なって、
誕生日に自分で自分に贈ったホテルステイで海が見えるプールで泳ぎながら、
無理に頑張るパターンを吹っ切りました。
参考:風の時代へ。冬至の心の毒だし、バシャールの現実創造で何が起こる? 突然顔面マヒに、ラムゼイハント症で緊急入院した話。
そこから、さらに深いホンネが、父と母との関係性からわかったんですね。
私は、1年半ほど、母と一緒に闘病中の父を支えていました。
最後は、気丈な父が立ち上がれなくなりました。
そして下の世話が必要になりましたが、父は娘である私よりも、母にしてもらいたいんですね。
とはいえ、看護師さんがくる1時間以外の23時間は、二人で連携をとってやらないといけません。
そこで感じるのは、父はものすごく母を頼りにしていて、と同時に、
母に迷惑をかけたくない、大事にしたいという思いもひしひしと伝わってくる。
私に対する信頼には、比べものにならないぐらいの深さと大きさが母に対してあるんです。
母もまた、下の世話をさせてもらうことで、父と再び近づくことができたと言っている。
うまく言葉で説明できませんが、惚れたとか腫れたとかを超え、
絶対にお互いから逃げないという覚悟のようなものが見えたんです。
そういうものは、私の過去の関係性にはありませんでした。
相手だけでなく、自分も相手に対して、肝心なところで逃げ腰だったんだなぁと。
そちらが好きと言ってくださるなら、私も好きです、
でもそうじゃないなら、もういいです、といった感じで。
完全に腹をくくれていないんですね。
自分が相手を選ぶということに、100%YES!、と自信が持てていない状態なので、
けれども、死を前にした父と母の関係性から、健やかなるときも病めるときも、
じゃないですけれども、深いパートナーシップってこういうことなんだなと、よくわかりました。
投影が映す自分の一面は、潜在意識が封印する部分なので、
なかなか自覚したり、認めたりが難しいというのが事実です。
しかし、ショックだったり、心が揺さぶられるような大きな出来事が、
このようにして私たちの心に揺さぶりをかけ、投影に気づかせてくれるきっかけになります。
そこで、投影についてあらかじめ知っておくことで、
私たちは辛い出来事を活かして、自分のパターンを見つめ直すことができます。
それは、健康な関係性につながっていきます。
健康的な恋愛関係を築くために
そこで、不毛な関係性にハマっているように感じたときは、
自分が当たり前だと信じているものを見直すタイミングです。
言い換えれば、より幸せに、ラクになれるよ、という潜在意識からのお誘いが来ているということ。
とはいえ投影は無意識的な過程なので、健康的な恋愛関係を築くためには、
自己理解とコミュニケーションが重要です。
1. 自己探求をする
自分自身の感情や価値観、欲求を把握することが重要です。
自分が何を求めているのか、どんな関係を築きたいのかを明確にするために、自己探求をする時間を取りましょう。
参考:モーニング・ページとジャーナリングの違い。方法や効果、オススメする人は?
参考:自然なあなたが一番美しい。ドス黒い感情やダメな視点にも価値がある! 不安、怒りを「書いて」陽転させる方法。
内観の方法としてジャーナリングや瞑想なども役立ちますし、専門家の手を借りて、カウンセリングやコーチングを受けるのも一つです。
参考:一緒にいると、本当に癒される人の特徴。良いヒーラー、カウンセラーの役割、選び方とは?
2. コミュニケーションを重視する
オープンで健全なコミュニケーションは、良好な恋愛関係の基盤です。
相手との感情や意見を共有し、お互いのニーズや希望を理解するために、
率直で思いやりのあるコミュニケーションを心がけましょう。
どうやっても話し合えない相手に対しては、話し方を変えるか、
専門家を交えて話すか、そもそもの関係性を見直すことも一つです。
参考:「もうムリ…」に効く、相手も自分も癒される話の聞き方。
3. 相手を尊重する
相手の独自性や違いを尊重することが大切です。
相手の感情や意見に対してオープンになり、互いの個性を認め合いましょう。
4. 自己責任を持つ
自分自身の感情や行動に責任を持つことが重要です。
自己成長に努め、相手に対しても責任を持った行動を取ることで、
健全な関係を築くことができます。
5. バランスを保つ
恋愛関係においては、自己と相手のニーズのバランスを考えることが必要です。
お互いの時間や空間を尊重するために、日頃から自分で自分を大切にする習慣をつけることも役立ちます。
参考:セルフ・コンパッションとは? 自分への優しさが、失敗や絶望から立ち直る力になる
6. 相互サポートをする
困難な時や挫折した時にお互いをサポートすることが大切です。
相手の感情や困難を受け入れ、共感し支え合う関係を築くことで、絆を深めることができます。
7. 健全な境界を持つ
犠牲的な関係に陥らないように、自分と相手の健康的な境界を明確にすることも大切です。
相手の感情や行動を自分のものだと同一化せず、自己のアイデンティティをしっかりと保ちましょう。
まとめ
これらの方法を実践することで、より健康的な恋愛関係を築くことができるでしょう。
とはいえ、人間関係は個人によって違います。
具体的な状況に応じて柔軟にアプローチすることも大切です。
そして最後に。必ず恋愛をしている必要はありません。
何より大切なのは、自分との愛ある関係性を育むこと。
あなたと24時間365日一緒なのは、大切なあなた自身しかいないからです。
そのためにも、自分のことをよく知り、相手と自分との健康的な関係性とともに境界を保つことも大切にしてみませんか。
お役に立てれば幸いです。
最後までお読みくださり、ありがとうございました☺️