ちょっとお疲れ気味のあなたへ。一杯のドリンクで幸せになる方法。

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「ちゃんとやろう」「いい人でいよう」と頑張りすぎると、毎日がクタクタに。優しいあなただからこそ、ちょっとお疲れ気味ではありませんか? そこで今からできる好きなドリンクを味わい、マインドフルなご褒美タイムにする具体的な方法についてお話しします。

ちょっとお疲れ気味のあなたへ。一杯のドリンクで幸せになる方法。

私たちは幸せのために生きている、それでいい。

役立ちたいと頑張ったり、自分磨きをすることは大切です。

時間や健康を犠牲にして、走りつづけるときもあります。

その理由は、それが幸せだから、もしくは幸せにつながる道だと信じているから。

その先にある達成感や満たされた感じ、ホッとできる未来を信じているからですね。

でも、それでクタクタになっているとしたら?

それは、自分を大切にしましょうというサインです。

いろんな著名人の方々の報道をみたりきいたりして、心からそう思います。

私たちは究極的には、幸せであるために生きているのです。

ダライ・ラマ14世もそうおっしゃいます。

そしてそのカギになるのは、思いやりと愛。

思いやりと愛を傾けるのは、まず自分自身です。

そして水に投げられた石が放つ波紋のように、

自分に近しい人から遠くの人に至るまで思いやりと愛を広げていきます。

その逆はありません。

参考:ありのままの自分で本当に幸せになれるの? マガジンハウスからホームレス編集者へ。アメリカ先住民ナバホ族の集落で死にかけて学べた私の幸福学。

感情の前に、感覚を取り戻す。

忙しいとは、漢字で心を亡くすと書くというのは有名な話ですよね。

頑張りすぎて、いまの自分を実感できないと、心が疲弊します。

心というのは、「嬉しい」「悲しい」といった感情や、

「温かい」「冷たい」「ホッとする」「キュッとする」といった感覚のことです。

私が女性誌アンアンの編集者だったころのことです。

多くの人がうらやましいと思うような地位や名誉、

お金や幸せな家族をもつスターに取材させていただいたんです。

そこで

なんでももっている○○さんが、幸せを感じられるのは、どんなときですか?

と伺ったんです。

彼は少し考えて、こう答えてくださいました。

夕日がきれいだな、と思えたとき。

だってどんな絶景を目にしても、それが『すごいな』『キレイだな』って思えなきゃ、それはないってことと同じだから

感情も感覚も感じられる。

心がきちんと動いて、感激できる状態であることが幸せということを

教えてくださったんですね。

それは今に心があるということ。つまり、今を味わうということです。

心が疲弊しているとき、感情を取り戻すのは難しいです。

そんなとき、まず感覚を取り戻す。

つまり、今の感覚を味わいきることが助けになります。

多忙な日々の一杯のお茶がマインドフルネスとの出合い。

今を味わうということを、マインドフルネスといわれたりします。

スピードや効率を重視すると、どうしても未来に意識が向いて、

今を深く感じきることは難しくなります。

私がマインドフルネス瞑想に出合ったのは、ちょうどそんなときでした。

そしてきっかけは、一杯のお茶。

離婚した2ヶ月後に向かった台湾出張でのことです。

そこで一番古い台湾茶芸館を取材させていただいたんです。

店主は70代の男性でした。

でもほとんど言葉を発さない(汗)。

これで記事が書けるのかなーと、不安になりました。

まぁお茶を飲みなさい

彼はそう言って、丁寧に台湾茶を淹れてくださいました。

そこでお茶は、飲む前、飲んだ後も器に残る香りを

楽しむことだと教えていただいたんです。

言葉少ないので、身振り手振りで。

まさに言語を超えて、感じることで体験から情報を汲み取る取材時間でした。

すると、数分の時間が長くゆったりとして、拡張されたように感じたんですね。

その後、また別の特集の企画を立てるために本を読んでいて、

次の言葉と出合ったんです。

お茶を楽しむためには、

人は完全に、今というときに目覚めていなければならない。

今という瞬間を意識しているときにのみ、

手は茶わんの快い温かさを感じることができる。

今という瞬間のみに、香りを楽しみ、

甘さを味わい、繊細さを感じとることができる。

過去のことを思いわずらっていたり、

将来のことを心配していたりすると、

一杯のお茶を楽しむという体験を失してしまうだろう。

茶わんを見おろすと、

もうお茶はなくなっているのだ。

―ティク・ナット・ハン(一杯のお茶の楽しみ方について)

ティクナットハンという禅のお坊さんの言葉でした。

(参考)『仏の教え ビーイング・ピース

私の恩人が翻訳したティク・ナット・ハン禅師の著書。

当時はまさか自分が会社を辞めてアメリカに行き、その恩人が書かれた自伝を翻訳することになるとは思いもしませんでした。

あの茶芸館の店主が教えてくださったことだ…

そして突き動かされ、遠いフランスからティク・ナット・ハン師がやってくるからと、

韓国で催された彼のマインドフルネス合宿に参加。

それが、マインドフルネスとの出合いになりました。

合宿中、言葉はほとんど発しませんでした。

食事中に焦って会話の空間を埋めようとしなくていいし、愛想笑いもしなくていい。

とにかく自分の感覚だけに集中できる。

とても贅沢な時間で、なぜだか涙がとまりませんでした。

前にスピーディーに進むために、感じきることを封じるのに慣れていた心が

再び動き出したのだと思います。

お茶時間を瞑想タイムに。

そこで、ドリンクを飲んだり、食事をいただくとき。

香りや味わいという感覚を優位にして、今ここに心を置く。

そう意識するだけで、飲んだり食べたりする時間が自分をもてなす時間になります。

同じ時間もゆったりと長く感じられ、満足感が増すのですね。

とくにお気に入りの温かいドリンクは、かたくなった心をほっと和らげてくれます。

そこでお茶でもコーヒーでもハーブティーでも、

香りがあって、色がついていて、温かい飲み物を、自分のために準備しましょう。

まず目をつぶって深呼吸します。

吐く息で体の力みを抜きましょう。

初めて目にする物体のように、ドリンクをじっくり観察します。

カップに触れたときに指先に伝わる温度、どんな刺激が伝わってきますか?

鼻の下にカップを近づけて、鼻の粘膜に伝わる温かさを感じきります。

香り、味わい、液体が唇を湿らせ、体内を伝わっていく感じを楽しみます。

五感をフル動員するんです。

雑用や気がかりなことが頭に入るすきがないぐらい、感覚に集中します。

ほんの数口このようにして、あとは普通に飲んでいただいても構いません。

あなたが一番心地よい時間にカスタマイズしてください。

このようにマインドフルに味わう時間を持つことで、

あなたの心をもてなすことができます。

そこで感じた敬意や豊かさ、満たされた気持ちは、

やがて他の人への優しい心にも繋がっていきます。

とはいえ、すぐにその効果を期待するのではなく、

毎日このようにホッとできる時間を少し持ってみてください。

1日のなかで数分でも、自分だけの世界に入れる時間を持つことで、

心が整い、毎日のバランスやリズムも整っていきますよ。

そして、それは不思議なことに外側の現実としても現れてきます。

参考:『21 Lessons』AIから心を取り戻すために、なぜ瞑想なのか。