エックハルト・トールのペインボディとは? 心の傷やトラウマを解放させる方法

pain body

ペインボディとは、過去のトラウマや心の痛みでできたエネルギーの傷のこと。ペインボディが記憶されると、私たちの行動や感情に大きく影響を与えます。この記事では、エックハルト・トールが語るペインボディを探求。ペインボディを解放させる方法として、なぜ今ここに心を置くこと、マインドフルネスなのかを解説します。

エックハルト・トールのペインボディとは? 心の傷やトラウマを解放させる方法

もう思い出したくないようなつらい体験、恥ずかしい思い、そして強い喪失感にさいなまれたとき。

私たちは自分の心を守るために、その体験を抑圧したり、追いやります。

つらかったことは、無かったことに。
悲しかったことは、なんでもないことに。

そんなふうに自分のことを守ろうと、記憶をすり替えるのです。

けれども、そんなネガティブなエネルギーは、「ペインボディ」として、エネルギーレベルで私たちの体に記憶されます。

参考:多次元に生きる。目に見えない私たちの体、エーテル体、アストラル体、コーザル体とは

そう教えるのが、現代のスピリチュアルリーダー、エックハルト・トールです。

エックハルト・トールとは

エックハルト・トールは、ドイツ生まれのスピリチュアルリーダー。
私も読んでとても心が和らいだ、ベストセラー本The Power of Now』『A NEW EARTHが有名です。

マインドフルネスに興味がある方はThe Power of Now、心理学に興味がある方はA NEW EARTHがおすすめです。

日本語訳だと、さとりをひらくと人生はシンプルで楽になると、ニュー・アース-意識が変わる-世界が変わる』。

彼の英文は読みやすいので、個人的には、英語に抵抗感がない方は、原文で読んでみるほうが理解しやすい部分があるかもしれないなと感じます。

さて、エックハルト・トールのスピリチュアルな旅は、深刻なうつ病の克服で本格始動しました。

苦悩のピークは、ケンブリッジ大学の大学院生として入学した、29歳のとき。
絶望感や不安に苦しむで、自殺を考えるようになったのです。

もう「私」として生きることができない。

そうギリギリの状態まで追い込まれたとき、突如として深いスピリチュアルな覚醒体験を経験したトールさん。

「ただ在る」「ただ観察して見守るだけの存在」という意識の存在(The Power of Now)に気づき、心の中の静けさと平安を感じました。

深く自らの本質について理解した瞬間、彼の人生は大きく変わりだしたのです。
彼は、特定の宗教を信仰しているわけではありません。

けれども、多くのスピリチュアルな教えや哲学に触れていることは、著書から見てとれます。

たとえば、禅、仏教、タオイズムなどの東洋の教え。また、キリスト教の教えや、ヴェーダーンタ哲学、スーフィズムの教えにも触れています。

初版はわずか3000冊だったThe Power of Nowは、口コミで徐々に広まっていきました。
やがて有名司会者で女優のオプラ・ウィンスリーがおすすめし、ベストセラーに。
現代のスピリチュアルリーダーのひとりとなりました。

ペインボディとは何か

ペインボディとは、過去の心の傷やトラウマによって記憶された痛みや苦しみのエネルギーのことです。

感情的なレベルで体に記憶され、たとえば子ども時代に記憶されたペインボディが、大人である私たちの、行動や感情に影響を与えます。

エックハルト・トールさんは、このペインボディの解放が内なる平和と幸福を実現するための重要なステップであると説いています。

参考:その不幸は、体に積もった心の傷のせい? 古い痛みを感じて「ペインボディ」を治す方法。

ペインボディの特徴

ペインボディにはいくつかの特徴があります。

まず、過去の出来事やトラウマに関係する感情が、それを想起するような体験によって、活性化することがあります。

頭では、「忘れた」「克服した」と、思っていても。painful emotions

トラウマというと、ものすごく大きな出来事で受けた傷だけを指すのではありません。

たとえば小さいころお母さんにとびきりのことを話そうとしたら、「今忙しいから後にして!」と言われ、心の痛みを感じた。

これもトラウマの一種。

お母さんにとっては単に手一杯だっただけで、そんなつもりはなくても。

単に本人が強く拒否されたように感じただけでも、その人が痛みを感じて、解放させずに封じ込めたなら、ペインボディになる可能性があるんです。

そして、同じようなこと、たとえば「後にして」とパートナーに言われて後回しにされると、必要以上に傷つく。愛されていないように感じる。

もしくは、見捨てられ不安を抱くあまりに、相手に心を開けない、距離を保ってしまう。

そのように、過去の痛みを想起させる出来事で、ペインボディが活性化されるのです。

また、ペインボディは痛みや苦しみを引き起こし、ネガティブな感情や思考のループに引き込む傾向もあります。

そして、自分自身との関係性や、他者との関係にも影響を与え、安らぎや幸せの妨げとなるんですね。

ペインボディを解放する5ステップ

そこで、エックハルト・トールは、ペインボディの克服に向けたアプローチを提唱しています。

それは以下の5つのステップです。

1. ペインボディを自覚する。
2. ペインボディがあることを受け容れる。
3. その感じ、感覚を思考に変えようとしない。
(ペインボディを良い悪いとジャッジしたり、分析しない)。
4. ペインボディを自己同一化しない。
(ペインボディは確かに自分の中にあるものだけど、ペインボディ=自分、としない)。
5. いまここにとどまり、観察者であり続ける
(痛み、不安を自己同一化せず、自分の内側でなにが起きているのか観察する
目撃者の立場をとる)。

つまり、彼は、自己観察と気づきの重要性を強調し、マインドフルネスの実践や感情の受容と解放を促しています。

これらのアプローチを通じて、ペインボディからの解放と心の平和を実現することができるとされています。

マインドフルネスとペインボディの解放

つまり、ペインボディの解放に、”Power of Now”(いまここに心を向ける力)、マインドフルネスの実践を重視しています。

マインドフルネスとは、現在の瞬間に意識を集中し、自分自身や周囲の出来事に対して受容的であることです。

ではなぜマインドフルネス(「今ここ」)なのでしょうか。

savor a life

自己観察と気づきの重要性

まず、ペインボディを克服するためには、自分について知ることが重要です。

自分自身の感情や思考に対して注意深く観察し、ペインボディが活性化するトリガーやパターンを見つけることが必要なんですね。

この自己観察を通じて、ペインボディがどのように作用しているのかを理解し、気づきを得ることができます。

とはいえ、自己観察していると、

「また同じことに腹が立ってしまった!」「いつも同じようにクヨクヨしてしまう…」

と、自分のことが嫌になり、責めてしまいますよね。

苦しくなって、観察すること(マインドフルネス)が嫌になってきます。

けれども、エックハルト・トールさんは、このように実践してみたからこそ、壁にぶち当たった私たちの心を優しくなだめてくれます。

癒しは、そうだと気づいたときに始まっています。

なぜなら、本当に囚われているのは、その存在が自分だと勘違いしたとき、つまり、自分がその存在になったときだけだからです。

ー『A NEW EARTH』より抜粋・著者訳

気づくということは、そうなっている自分を観察(自覚)できているということ。

そんなとき、私たちは、自分を観る存在となり、同一化されていないのです。

参考:スピリチュアルな目覚めとは?映画『マトリックス』の覚醒と、仏教の悟りの深い関係

参考:プルシャとプラクリティ

感情の受容と解放

また、マインドフルネスは、現在の瞬間に意識を集中し、自分自身や周囲の出来事に気づくだけでなく、それらに対して受容的であることです。

ペインボディが活性化するときにも、その感情を抑圧したり拒否したりするのではなく、受け入れることが求められます。

感情を受け入れ、解放するためには、深呼吸や瞑想、ジャーナリングやダンス、創作などの感情の表現を通じて自己解放を促すことが効果的です。

参考:自然なあなたが一番美しい。ドス黒い感情やダメな視点にも価値がある! 不安、怒りを「書いて」陽転させる方法。

参考:もう瞑想が難しくない。 基本の呼吸瞑想のポイントはただひとつです。

まとめ

エックハルト・トールは、ペインボディに捉われずに今ここに心を向けること、自己観察を続け、感情の受容と解放を行うことを推奨しています。

また、他者との関係や自我に固執せず、内なる平和と真実に繋がることを促しています。

これらのアドバイスを実践することにより、エックハルト・トールの教えを活用しながら、ペインボディからの解放と心の平和とつながるでしょう。

また、悟りや目覚めとは、ほとんどの人にとって、決定的で一度に完了する出来事ではなく、体験していく過程なのだと思います。

そこで、うまくいったり、いかなかったりする自分のことを責めないこと。

私たちの魂の成長とは、手に入れるものではなく、今おこなっていることにある。

そのように、痛みも喜びに対しても日々気づき、深く味わい切れればと願っています。

私自身もまた、1歩進んでは2歩下がったりしながらも、そのようにしたいなと思います。

最後までお読みくださり、ありがとうございました。お役に立てれば嬉しいです。