私たちは知らないうちに、過去の経験や周りの状況から、自分の枠を設定しています。必ずしも悪いことではありませんが、未来のなりたい自分や見えないけど叶えたい未来をすえてなにをしたらいいかと考えるときには制限になってしまいます。そこで、『デジタルマネー戦争』より、今は見えないけれど、夢や願望につながる道筋を設定するために役立つ「シナリオ思考」についてお話ししたいと思います。
目次
未来のなりたい自分とつながるために役立つ、シナリオ思考って?
突然ですが、私はアナログな人間です。本はやっぱり紙が読みやすいし、ケータイに銀行を同期するたびに「ハッキングとか大丈夫かしら…」と少し不安になります。
でも、日本でもどんどんお金のデジタル化が進んでいますよね。そこで、なぜここまで世界がお金のデジタル化のひとつ、キャッシュレス化を進めようとしているのかに興味を持ち、『デジタルマネー戦争』を読んでいたんです(アナログな私ですが、リーズナブルだったからデジタルブックKindle版で!)。
そこでは、お金のデジタル化では世界のルールが書き換えられるということ、さらに今(&これから)の日本には「4つのS」が必要だと書かれていました。詳しくは割愛しますが「4つのS」とは具体的に、以下です。
日本に必要な「4つのSとは?」
・シナリオ思考
・スピード
・セキュリティ
・サイエンス
そのなかのシナリオ思考は、自分の枠を超えて、未来のなりたい自分とつながるという、こちらのHPのテーマに共通すると感じたので、皆さんにシェアしたいと思います。
シナリオ思考とは?
では、シナリオ思考ってなんでしょう?
著者は「理想を描き、長期的な視野を持つこと」だといいます。
シナリオ思考がないと、「自分の世界をこうしたい、こう変えたい」と言う理想や理念がないので、現状でよしとする考えに流されてしまうとか。
日銀の新札発行:シナリオ思考がない例
まず、「シナリオ思考がない」残念な例として、筆者が挙げているのが日銀の新札発行です。
「より偽造しにくくするため(これまでも20年ごとに改刷してきた)」という理由で新札を発行しようとしているのは、今は一番やりやすい方法だけど、長期的なスパンをみすえた対策にはならないというのです。
その理由は、量子コンピューターの台頭や地球温暖化対策など、つまり、1年や2年はよくても、20年先(さらに近未来?)に通じる解決法にはなっていないからです。
手間や費用が無駄になってしまうということなんですね。
イーロン・マスク氏の宇宙開発:シナリオ思考の例
では、筆者の考える「シナリオ思考」の例とはなんでしょうか。
本書では、テスラのイーロン・マスク氏の戦略について触れています。
まず彼は脱炭素という社会をみすえてガソリン車ではない電気自動車を普及させました。
さらに他のシナリオも持っています。
それは、それでも地球環境の悪化がまぬがれず、地球が住めなくなったときのシナリオです。
つまり人類の火星移住というシナリオ。
そこで必要になるのが安くて信頼できる宇宙輸送手段であり、「スペースX」事業です。
ZOZO創業者の前澤友介さんが搭乗されましたよね。
その費用は8800万ドル(約100億円)だったともいわれます。今はとんでもなく高額でとても手が届かない金額ですが、コストを下げるべく開発を進めているそうです。
ちなみに、「スペースX」のホームページには、ロケットの定価が掲載されています。「ファルコン9」というロケットの定価は、6,200万ドル(現在のレートで約70億円)。
これは世界の主力ロケットの価格より40%近く安いそうです(『人類がもっと遠い宇宙へ行くためのロケット入門』より)。
このどちらのシナリオでも「ムリだ」「空論だ」と、マスク氏は多くの人に批判・反対されてきました。しかし彼の頭には、50年先の未来というシナリオがはっきりと見えていたので、現在と未来に橋をかけて、目の前のことを愚直にやり続けてきたのでしょう。
彼のシナリオが良いか悪いか、正しいか間違っているか、私たちそれぞれのシナリオと同じかどうかは別とします。
けれどもなりたい未来の自分を設定し、現在の自分と橋をかけるという方法という意味では、お手本にしたいところです。
シナリオ思考の6ステップ
本書の例をふまえて具体的にわりだした、シナリオ思考は以下の6ステップです。
- 「これから10年、20年、30年先の未来はなにが起きていると思う?」と自分に問いかける。
- 何本かシナリオを想定する(Aパターン、Bパターン、Cパターンなど)
- 「その未来に何を残したい?」と自分に問いかける。
- 「そこに向かうステップを細分化して、今やることはなんだろう?」と自分に問いかける。
- 行動に移す
- 行動の結果を検証し、タッチ&トライし続ける。(どうしてもうまく行かないときは、1から繰り返す)
まとめ
私たちは知らないうちに、過去の経験や周りの状況から、自分の枠を設定しています。「10年後や20年後の世界や自分」を考えるときは、一度今の状況から切り離して、まったく新しい世界やルール、価値観が存在することにオープンになる必要があります。
参考:新しい世界に向かうときに迎える心の状態、ゲシュタルト崩壊とは?
とはいえ、「その未来に何を残したい?」という、あなたの価値とつながることも大切。
『デジタルマネー戦争』より、今は見えないけれど、夢や願望につながる道筋を設定するために役立つ「シナリオ思考」についてお話しさせていただきました。2030年のお金の世界について深い洞察が書かれていますので、興味がある方は手に取ってみてください。
そして、どんなシナリオを想定しながら今日という1日を生きているのか、ジャーナリングなどで振り返る時間をもつことも良いかもしれませんね。
参考:自然なあなたが一番美しい。ドス黒い感情やダメな視点にも価値がある! 不安、怒りを「書いて」陽転させる方法。