怒りに流されてしまうと、相手や自分を傷つけてしまいますよね。今回は、世界的に有名なコーチ、トニー(アンソニー)・ロビンスの本『一瞬で「自分の夢」を実現する法』にあった、自分の脳をつくり変えて「怒り」との適切な距離をとる具体的な方法について解説します。鍵をにぎるのは、「言葉」です。
目次
世界No.1カリスマコーチが教える「怒り」の収め方とは?
イライラ!ムカムカ!という気持ち。心地よいものではなく、トラブルのもとにもなりやすいので、感じると「嫌だなぁ」と思います。
精神科医の大野裕先生によると、怒りは、相手が不当なことをしていると判断したことから生まれる感情。適切にあつかえば、自分の身を守る働きもしてくれるとか。
怒りに関するベストセラー本『Rage Becomes Her: The Power of Women’s Anger』を執筆した作家ソラヤ・チェマリー氏もまた、怒りは必ずしも悪いばかりではないと言います。怒りは、社会を前進させるのに必要な感情だとも(※)。
確かに義憤という言葉もありますが、道義に外れたことや不正に対して適切な怒りを抱くことは必要なことでもあります。
ところが、怒りに流されてしまうと、言葉や肉体的な暴力を相手に被らせてしまったり、後でそうしてしまった自分を責めて、後悔したり、傷ついたりしてしまいます。
では、ホットな怒りの感情を認めつつ、適切な距離をとるにはどうしたらいいのでしょう? 世界的に有名なカリスマコーチ、トニー(アンソニー)・ロビンスの本『一瞬で「自分の夢」を実現する法』に、そのヒントがありました。
トニー(アンソニー)・ロビンスとは?
ムキムキマッチョな見た目のトニー・ロビンス。私がアメリカで初めて彼のTV番組を観たときは、しばらく格闘家かと思っていました(笑)。
(↑ 体型も行動もマッチョだから、好みがわかれるかもしれません。でもメソッドはわかりやすい。)
私が観た回では、ケンカしているカップルそれぞれの言い分の翻訳機のようになって、最後は彼らを自己啓発していました。
トニー・ロビンスは、1960年2月29日カリフォルニア数ノースハリウッド生まれ。
母親は再婚を繰り返し、複雑な家庭で育ちました。17歳で家出をして大学にはいかず、清掃員として生計を立てるようになります。いわゆる学者たちとは違う方法で、人の心理について深く学んでいきます。
その頃から自己啓発家で作家のジム・ローンのセミナーを手伝うようになります。1980年代の初めには、神経言語プログラミング(NLP)とエリクソン催眠を学んでいたロビンスは、NLP共同創設者のジョン・グリンダーと提携。
のちに自己啓発家となり、彼の『Unlimited Power』は全世界で1千万部の大ヒットセラーに。日本語訳としては、本田健さんが翻訳された『一瞬で自分を変える法』です。
怒りと距離をとるには、自分の脳をつくり変えることが必要。
彼は、私たちは、「苦痛を避ける」か「快楽を求める」かという行動要因で、行動を決めている。
そして「苦痛を避ける」方が、より強力なモチベーションになると言います。そして不快を避けようと(〉快楽を求めようと)脳が判定を下した結果として、私たちは行動を選んでいるとか。これは、心理学でも広く語られることです。
つまり、怒りを爆発させるというのは、苦痛を避けたいという脳の考えの現れ。怒りという反応によって、「相手が間違っていて、自分は正しい」と自分を正当化することで、自分の心を守ろうとしているのです。
参考:あなたを不幸にする人間関係、こんな人からは離れていい。
具体的な「怒り」の収め方は?
ではそこで、自分の脳をつくり変えて「怒り」との適切な距離をとるには具体的にどうすればいいのでしょうか?
1. 怒りの代償を思い返し、「変わる」と決断する。
この記事を読まれているということは、怒りを感じたことで代償を払った(苦痛を感じた)と感じられたことがあるからだと思います。私もこれを書いているのは、それで余計なことを言って人を傷つけてしまったり、後悔してしまったことがあるからです。
2.「変わる」と快楽をリンクさせる。
そこで、まずそのことを思って「変わる」と決断しましょう。そして、変わった場合の「良いこと(快感=良い人間関係など)」もありありとイメージします。
3.「怒り」にまつわる言葉は、選び直す。
さらに彼は、具体的な一例として、言葉を選び直すという方法を挙げています。
普段使っている言葉(自分の気持ちを表現するために使っている言葉)を変えるだけで、たちどころに考え方、感じ方、生き方を変えることができるのだと言います。
マザーテレサのこんな名言もありますね。
思考に気をつけなさい、それはいつか言葉になるから。
言葉に気をつけなさい、それはいつか行動になるから。
行動に気をつけなさい、それはいつか習慣になるから。
習慣に気をつけなさい、それはいつか性格になるから。
性格に気をつけなさい、それはいつか運命になるから。
私も文章を書くはしくれとして、思いをどんなふうに書いて届けるかで、人生が変化すると実感しています。
そこで、怒りを言語化するにも、
・腹が立つ
・イライラする
・癇に障る
・はらわたが煮えくり返る
・カチンとくる
・ちょっとイラっとする
と、さまざまな表現があります。
彼は、そこに新しいレッテルを貼るだけで、経験の意味合いを簡単に変えることができると言います。
当然、感覚をまったく違う言葉の型に流し込むというのは、ウソになります。それは自分が抱いた気持ちを認めないことになるので、自虐行為でもあります。
そこで、違うものにするのではなく、より慎重に言葉を選ぶということです。さらに言えば、言葉にした後に「快」につながる表現はなんなのか。
私たちは無意識に使い慣れた言葉に自分の感覚を当てはめていることがあります。そこで、その言葉の影響力を改めて認識して、慎重に言葉を選び直すのです。
参考:自然なあなたが一番美しい。ドス黒い感情やダメな視点にも価値がある! 不安、怒りを「書いて」陽転させる方法。
それは「はらわたが煮えくり返る」ほどの怒りだったのか、「ちょっとカチンとくる」程度だったのか。もしくは、「怒る」ではなく「頭に来る」だったのか。「ひどい人」というより、「一風変わった人」なのか。さらに感じたのは「怒り」ではなく、より正確に言えば「胸に熱いものが走る」体験だったのか。
トニー・ロビンスは、「経験と結びついた言葉が、そのまま経験になる」と言います。
そこで、経験にフィルターをかける言葉の力を高めることで、「怒り」との適切な距離をとり、さらには、人生を自分の手に取り戻すことができるのです。
参考:「強運の法則」が明かす、全宇宙が味方する成功と豊かさに必要な8つの条件とは?